ここから本文です。

放送日時 2018-02-17

2018-2-17OA 暮らしをつむぐ

番組名:きょうと・人・まち・であいもん

投稿日時 2018-02-17 15:30

出演者情報

前半 ただいま参上!
矢原公房 矢原 早苗さん

音声

RSS取得

MP3ファイルの再生/ダウンロード

2/17 暮らしをつむぐ        矢原公房 矢原 早苗さん
 京都市内から車で1時間ほどの、南丹市日吉町の山里で染織をしています。
この地域の丹波布は分厚い感じの布ですが、私は綿の色が好きであまり染めない細い糸で織る薄い布が好きです。自分で綿を育てて、綿屋さんに製綿に出しシート状にしてもらいその綿を手で紡ぎ糸を作ります。平面なのに立体になるのが着物でそれを前提に、着物をかたどった用紙にデザインを何枚も書き、それを計算機で緻密に計算して16~17mの糸を必要な部分だけを染めます。1本の糸をサランラップとゴムを巻き染まらないようにして染める。色はイメージ通りになかなか仕上がらず、水の中ではきらきらと濃い色なのに、乾くと半分くらい薄くなるので何度も染めることもあります。この染めの工程が一番大変なのですがこの段取りで全て決まると言っても過言ではありません。染め終えると織りに入りますが織り始まるとそのまま織るしかないのです。京都の分業ではそれぞれの工程しかしませんが、ほわっとした紬を織ることをしたかったのでそういう先生に弟子入りしました。この地ではじめて織った作品は「春の朝」朝早く起きた時、野草の花がとてもきれいに咲いていて、山の春はこんなのかなと思い染めて織りました。
100年ほど前までは、この地域の女性は糸を引くことが当たり前の時代でした。囲炉裏端で母親が糸をつむぐ音だけが家中に響き、子供たちがそばで遊びながら自然に話す。その穏やかな情景が少し前までは普通にあって現在それができているのが幸せです。
木綿を紡いで染めて織るのはこれだけ時間がかかったからと言ってお金に換算しにくいもので家族のための布なのかもしれません。15年以上前に主人に織った一位の木で染めたカシミアのマフラーは今も愛用してくれています。日々の暮らしで木綿の着物は、ほとんど着ることがなくなりましたのでシャツ生地を織りたいと思います。どんな着心地なのでしょう。想像するだけでわくわくします。途絶えそうな伝統の技術で、さわやかなここちよい布を織りたいものです。
******矢原さんの追記*******

京都市内から車で1時間ほどの、南丹市日吉町の山里で染織をしています。

二十数年前に、Iターンをして小学生だった二人の娘を連れてこの地に住みました。

夫はろうけつ染、私は草木染の紬織を生業としてきました。近隣の野山で採取した草木で、日ごとに移り行く自然の美しさを表現したいと糸を染め織ました

染色中の水の中で輝く糸がかわくと半分くらいの色になります。淡い色でも力のある色をと試行錯誤の日々でした。気が付くと世の中は着物離れが進み厳し

い状況で副業を持つこととなりました。

100年ほど前までは、日本各地にその土地の特色を持った綿織物があり、農家の女性は、棉を育てて糸を紡ぎ織っていたようです。囲炉裏端で糸を紡ぐ音が静かに響き、子供達はそばで遊び母に語りかける、穏やかな日常だったことでしょう。

丹波地方の綿布は太めの糸でざんぐりとしたものでした。とても素朴で、その美しさは民芸運動により絶賛され丹波布として有名になりました。

私もその素朴な布に惹かれました。いつの日からか綿の色と風合いを生かし、細い糸を紡ぎシンプルなデザインの布を織るようにす。日々の暮らしで木綿の着物は、ほとんど着ることがなくなりましたのでシャツ生地を織りたいと思います。どんな着心地なのでしょう。想像するだけでわくわくします。途絶えそうな伝統の技術で、さわやかなここちよい布を織りたいものです。

******矢原さんの追記*******

感想
お話しを聞いて矢原さんの着物を見たい気持ちが募りました。実は建築女子は着物好きが多いのです。染め・織り体験工房をお願いできないかしらと密かに。(桂浩子)