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放送日時 2018-12-01

2018-12-1OA地域×大学~~学生・若者が地域に暮らし、関わるカタチを考える                 福知山公立大学教授 谷口知弘さん

番組名:きょうと・人・まち・であいもん

投稿日時 2018-12-01 15:30

出演者情報

地域×大学~~学生・若者が地域に暮らし、関わるカタチを考える 
福知山公立大学教授 谷口知弘さん

「建築士会なにやってまんねん」住まいの環境研究会座長 山本晶三さん

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                           福知山公立大学のまちかどキャンパス吹風舎での講演会を2回にわたりお伝えします。
地域×大学~~学生・若者が地域に暮らし、関わるカタチを考える
福知山公立大学教授 谷口知弘さん
★★自己紹介★★
出身地の宇治田原町湯屋谷は美しい里山の風景と暮らしが残っています。それに気づいたのはつい最近です。地域の方々が守ってくれていることに心から感謝しています。
京都工芸繊維大学で意匠工芸学を学び卒業しデザイン事務所に勤め、縁があって京都工芸繊維大学の助手になり、立命館、同志社、コンサルを経て2016年福知山公立大学に赴任しました。大学では地域協働教育、地域ではご近所の仲間と福知山唯一の銭湯「櫻湯」の保全活動やマルシェイベント「福知山ワンダーマーケット」の開催をしています。
★★活動の原点★★
私のワークショップを活用したまちづくりは、加茂大橋西詰の鴨川公園リニューアルの住民参加の基本設計づくりの経験が基礎になっています。今では当たり前のようですが20年前京都府では初めての取り組みでした。市民と行政と専門家が協働で進める中で、今まであった地縁コミュニティが元気になり、新たなテーマコミュニティがいくつか生まれました。最初に発足した「でまち倶楽部」は今も活動しています。行政の支援が無くなってからも持続する担い手や組織を育てることが大事であると気づいた事業でした。
★★福知山公立大学まちかどキャンパス吹風舎(ふくちしゃ)★★
2018年5月に新町商店街にオープンしました。大学・学生と地域が交流を通して学び合い育て合う場を目指しています。「まちライブラリー」や「まちびと起業塾」、学生の「地域プロジェクト」などの独自事業の実施や公益活動の貸し会場として利用いただいています。また、近所の子こどもが遊びに来たり、地域の人達が集う場所にもなりつつあります。今後は、公共施設マネジメントの視点から地域の集会所や公民館活用のモデルとなるような事業の社会実験も行っていきたいと考えています。

 

 

後半「建築士会ってなにやってまんねん」

住まいの環境研究会 災害に備える~普段の暮らしと共に~

住まいの環境研究会 座長 山本 晶三

住まいの環境研究会は、建物や建物を取り巻く環境について研究を重ねています。

2000年から活動し、その少し後にシックハウス症候群がクローズアップされました。その時、そんなことになっているのか?住まいをつくるうえで健康を害する建築材料を自分たちが使ってきたのか?と驚きましたし、知らなかったとはいえそれでは済まされないと思いました。他にもそのような材料があるかもしれないと思い、もっと知らなければと活動しています。

徐々にそれらの材料も法制化され、いわゆるF☆☆☆☆(フォースター)といいホルムアルデヒドの放散が無いものが建材の常識になりました。

現在ではその建材を使っていれば大丈夫だろうと思っている消費者や建築士も多くいますが、シックハウス症候群の方より敏感な、化学物質過敏症の方もおられるので、その方々にとってみればF☆☆☆☆レベルでは実際には快適な住空間にならない場合もあり、注意が必要です。

また活動当初から地域産材に注目してきました。

日本国土の7割が森林だといわれる中、特に京都は北山という丸太の産地で多くの杉を育てていますがその丸太が使われなくなったという事で大打撃を受けています。

残念ながらこの状況は2000年からそう変わっていません。

ただ、国は低層の公共施設は木質化にするべく取り組んでいます。公共施設が地域産材でつくられるようになると、肌に触れるところや目に入るところが木質化され、見た目だけではなく身体にやさしく、人体に及ぼす影響も変わってきますので、あまり進んではいませんがこの取り組みは続けていかなければならないと思います。

2011年以降は東日本大震災を受けエネルギーについて考えるようになりました。

太陽光発電の固定価格買取制度が終わりを迎える方もいますので、太陽光で発電した電気を蓄電していざという時に使えるといいのですが、買い替えの必要がある蓄電池が非常に高く、そのシステム導入は費用の面などでも手がでない方がほとんどです。

エネルギーを考えるにあたっては、地域の気候風土や家の素材が重要です。

昔の家は、土と木と竹と紙でできています。京都の町家は連棟ですので妻側(つながっている方)をどう断熱するかは正直むつかしく、中からしかできないので、土壁だけの家で快適に暮らすというのは厳しいものがあります。そこに新しい断熱材、できれば天然素材などのものを付け加え、開口部は複層ガラス、二層にするなどしてこなしていきます。しかしそうなると伝統的な京町家の景観が損なわれていくので、景観を継承しつつ住まい環境を整えるには、どのように折り合いをつけるか考えていかなければならないと思います。