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放送日時 2018-02-03

2018-2-3OA 中山間地域のつくり手/漆作家 川勝五大さん

番組名:きょうと・人・まち・であいもん

投稿日時 2018-02-03 15:30

出演者情報

前半”ただいま参上”/漆作家 川勝五大さん

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左京区花背の山の中で漆の器を作っています。

漆の器ができるまでには約10工程はあります。木の伐採、製材、木取り、そしてボ器の形に木を削り、そのあとの7工程くらいは僕が一人でします。最近は伐採と製材にも手をつけ始めました。

僕は作業スピードが早いせいもあって、父が「あれもしよう!これもしようか?」と提案してきて、「じゃあ、やってみようか」となる。気がつけばどんどん作業が増えていって、結局誰もやらないようなものが出来上がっていきます。例えばケヤキはそれ自体硬く丈夫なので、木地に拭き漆の技法で器としての機能は成り立ちますが、僕は桐の木を使うのでそうはいきません。このままでは漆は塗れないので補強の意味もあって布を貼ります。表も縁も裏も全面に貼る。そこに1−2回でいいのに10回漆を塗る。さらに、貼りやすい布を貼ればいいのにゴツゴツした布を貼ろうとする。普通の三倍は漆が必要です。漆を知る人にしたら「え?それ必要?そこまでする?なんで?」、そこで僕は「だってその方が丈夫やん、かっこいいやん。」

山に住んでいると、たいていのことを自分ですることが大事です。この夏の一ヶ月くらいは大工をして父の隠居部屋を作りました。林業に携わる弟が裏山からヒノキ三本を伐採し、それを製材所に持って行き、一年かけて乾燥。柱はプレカットを考えましたが、「このくらいなら自分でできる」と、結局自分で削りました。ちなみに母屋の下屋も、僕が18歳の時に建てた自分の勉強部屋です。

子どもたちはそんな姿を見ているせいか、なんでも自分でするものだと思っています。娘はケーキ屋さんになると言っています。6歳の息子は大工道具で何か作ったり、最近は魚をさばくのが好きです。冬の薪運びは率先してやってくれます。

子育てを通してのネットワーク『OKU京都ネット』を5年くらい前に作りました。この辺りは別所、花背、広河原が一つの校区です。地理的に隔たった三つの地域をつなげるために少しずつ活動しています。最初は冷ややかな目でも見られましたが、いつしかいろんな方に声をかけてもらえるようになりました。これがネットワークか、と最近は実感しています。これからが本格的な活動です。