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放送日時 2016-04-28

2016-4-29OA 「 馬堀にある京町家 」

番組名:KYOTO space fountain

投稿日時 2016-04-29 13:15

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先日、亀岡市内にある一軒の町家を改装する機会に恵まれた。
JR馬堀駅にほど近く旧街道沿いに位置する間口4件の町家は、美しいベンガラ格子と虫籠窓
(むしこまど)を備えた比較的保存状態の良い町家であった。
表玄関を くぐり、通り土間が奥まで続く全体の空間構成は、京都市内から 少し離れた位置に
ありながらも、京町家本来のスタイルを良く踏襲した伝統的な町家であった。表通りに面した
1階部分には、二つの小部屋が設けられており、その点にお いてはこの地域独自の間取りを
構成していたことは興味深い。

  新婚のご夫婦とお母様が共に暮らすこととなる、この町家の再生計画には、快適な居住空間
とともにお年寄りから子供たちまで幅広い年代の人にとって、親しみのある居心地のいい空間で
あることが求められていた。長年、この町家にお住まいのお母さんにとっては思い出のある住ま
いの空間であり、新 しく生活を始める新婚夫婦にとっては夢のある暮らしの空間である。
思い出と懐かしさを継承しながら、ぬくもりと安らぎのある空間創生を目指して改修計画は進められた。

 丁寧に耐震補強を施しながら、細かく区切られていた座敷部分は、床暖房を備えたホワイトアッシュ
の天然無垢(むく)フローリングで仕上げ、開放的なリビング空間を 実現した=写真=。
通り土間にある、大きな吹抜空間はダイナミックにキッチン上部に取り込みながら、中庭の自然光を
効率的にとりこんだダイニングスペースと有機的に連携を図っている。

 京町家がもつぬくもりと力強さ、思い出と懐かしさを内包した新しい空間へと再生することのできた
改修の好事例モデルであった