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放送日時 2016-12-23

2016-12-23 「新風館パタゴニアにみる環境改装思想」

番組名:KYOTO space fountain

投稿日時 2016-12-23 13:15

出演者情報

パーソナリティ) ローバー都市建築事務所
            野村正樹

パートナー) 橋本沙柚里

音声

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  中京区三条烏丸にある複合商業施設「新風館」(旧・京都中央電話局)。
れんが造りの外観と烏丸通への連続アーチが印象的なこの建物は、逓信省の京都中央電話局として、
大正15(1926)年に建設されたモダニズム建築である。設計は、逓信建築の先駆者のひとり吉田鉄郎。
その歴史的価値の高さから、昭和58(1983)年に京都市登録有形文化財の第1号にも指定され平成13
(2001)年から商業施設「新風館」として生まれ変わった。

 先日、そんな「新風館」に一軒の新しい店舗が誕生した。環境問題に積極的に取り組み、環境に配慮
した衣料品・アウトドア用品等を幅広く販売する「パタゴニア京都」である=写真。
アメリカに本社を置く「パタゴニア」としては、国内19店舗目の直営店舗であり約130坪のフロア内には、
ユーズド家具をうまく活用したコミニティースペースも整備されている。今回の改装においては、企業
コンセプトをそのままに歴史ある建物をそのまま活用し、価値を継承しながら環境に与えるインパクト
を最小限に抑える改装計画がなされている。

  例えば、建具や建具枠には杉の間伐材がレジカウンターの家具材には、古民家解体の際に出た柱材が、
それぞれ使用され、本来廃棄される部分であった木材がうまく活用されている。
コミュニティースペースに目を移すと、床材には桧(ひのき)の間伐材が、本棚には焼却炉で使用されて
いたれんががカットされ、巧みに工夫して再利用されている。
その他にも塗料は水性塗料・照明はLED照明・水栓は節水型水栓が全て使用され、同社の意識の高さが
うかがえる。

  既存の建物に環境面での改善を施し、廃棄物の発生を最小限に抑えながら修復して再利用する。
そんな最先端の改装思想を肌で感じることのできた、リニューアルプロジェクトであった。