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放送日時 2017-02-07

2017-2-10OA 「今、レトロビル再生が面白い」

番組名:KYOTO space fountain

投稿日時 2017-02-10 13:15

出演者情報

パーソナリティ) ローバー都市建築事務所
             野村正樹

パートナー)  橋本沙抽里

音声

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先日、上京西陣に新しくOPENした、「385 MIYAKO PLACE」を訪れる機会に恵まれた。
昭和48年(1973)に建築された古いオフィスビルを改装し、「シェアオフィス+コワーキングスペース」
として再生された、リノベーション事例である。
鉄筋コンクリート造・地上5階建てのそのレトロな外観は、経年変化をいい意味で感じる風合いのある
風格を醸成している。建造当初より外壁に使用されている多治見焼の窯変タイルは、44年の歳月を経て
艶やかにその輝きを増しているようにすら感じられる。
内部空間はビル本体とコンクリートの持つその味わいの深さをうまく再生し、モダンでありながらど
こか懐かしさを感じさせる、調和のとれた美しさを形成している。西陣の瓦屋根が続く町並みや北山
の山々を眺めることのできる、そのロケーションも京都市中心部にはない、独特の落ち着きを感じる
ことのできる居心地の良さを形成している。
「シェアオフィス+コワーキングスペース」という、スタイルは近年広がりを見せつつあるオフィス
ビルの新しい再生手法であり、従前の単なる貸事務所とは異なり、地域性・テーマ性といった視点を
、新しくビル再生に取り込みながら、独自のマネジメント手法を展開する方法として注目されている。
この「385 MIYAKO PLACE」においては、上京密着・西陣織といったキーワードを織り込みながら、人
と企業のつながり・交流を促進する工夫がなされている。
創業以来、帯の製造拠点として世界に通じる作品を生み出した建物が今回の改装とにより人々が新し
く集い、愛され続ける建物となった。年月を重ねるごとに美しくなる建築。このような建物を創り続
けたいと思えた、素敵なひとときであった。