地域・まちづくり
出演者情報
パーソナリティ） ローバー都市建築事務所
野村正樹
パートナー） 藤田瞳
音声
MP3ファイルの再生／ダウンロード先日、弊社、京都本社オフィスを少し手狭になってきたこともあり、長年使い慣れたテナントビルから、
同じ西陣にある近所のレトロビルへと移転させることとなった。以前、この「きょうと空間創生術247」
でも紹介をさせていただいた、昨秋新しくリニューアルOPENした、「385 PLACE」ビルである。
昭和48年（1973）に建築された古い織物会社のビルは、「シェアオフィス+コワーキングスペース」とし
て再生整備され、私たちの設計活動もより積極的に行える環境を整えることができたのである。
築44年というその年月を、肌で感じながら日々の業務を遂行することとなり、その中で、物を大事に使い
続けることの意義性を強く感じることとなった。以前より、古民家再生や町家再生を通じて、建物におけ
る持続可能性を意識しながら設計活動を行ってきたのであるが、実際にレトロビルで日常を過ごすという
環境に身をおくと、より一層その思いは強くなり、さまざまなアイデアが新しく生まれてくることとなる。
写真は、弊社新オフィスの打合スペース。コンクリートの持つ素材感を大切にしながら、本物の木が持つ
ぬくもりを感じる、落ち着きのある環境を計画している。中央にある大きなテーブルは銀杏の一枚板。
銀杏独特の木目が美しいこの長さ9尺もあるテーブル板は、事務所設立当初から大切に使い続けている
思い出のある一枚板である。今回、新たに表面を研磨することによって、新品同様の輝きをとりもどす
こととなった。左側にある白い椅子は、北欧のデザイナー、ユーロ・サーリネンによる「チューリップ
チェア」。以前は八瀬遊園地で使用されていた椅子を引き継ぎ、こちらも事務所設立当初から大切に使い
続けている。今回の移転を機に、「物を大切に思うこころ」について、より深く考えることとなり、
建築設計に生かすことができればと思うのである。
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