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放送日時 2017-08-25

2017-8-25OA 「和久傳の森と森の中の家」

番組名:KYOTO space fountain

投稿日時 2017-08-25 13:15

出演者情報

パーソナリティ) ローバー都市建築事務所
            野村正樹

パートナー)  橋本沙抽里

音声

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先日、京丹後市久美浜町にある「和久傳の森」を訪れる機会に恵まれた。

日本料理を通して、食と文化の素晴らしさを伝え続ける料亭「和久傳」。その創業は明治3年、

丹後峰山町で和久屋傳左衞門が始めた旅館「和久傳旅館」にさかのぼる。京都高台寺に店を

構えたのは昭和57年のこと。以来、季節の素材の味を生かした味わいと、その洗練された野趣

持ち味は、多くの人々に愛されている。

発祥地である丹後で、2007年より56種類の樹々、約30000本が植樹され「和久傳の森」が日々

大切に育てられている。今年6月、新しく「森の中の家 安野光雅館」が開館した。=写真=

折れ曲がった長い回廊と、周囲の風景に溶け込むような杉板張りのモダンな外観が特徴的なこの

美術館は建築家・安藤忠雄氏の設計による。やさしい雰囲気と淡い色調で落ち着きのある水彩画

が作風が特徴的な安野光雅氏。2012年には文化功労者に選ばれ、90歳を超えた、現在も積極的

に創作活動を続けている。そんな氏の水彩画の世界を、森と呼応するようにうまく融合させた展示

空間は、効果的に自然光をわずかにスリットで取り入れながら、まるで絹織物につつまれたような、

繊細かつ柔らかな空間を実現している。

他にも、この「和久傳の森」の中には、工房やレストラン・畑や果樹園も整備され、四季折々の自然と

風景があふれる、豊かな森林となっている。美しい自然に囲まれながら、絵画の持つ優しい雰囲気

建築空間の融合にふれることのできた、夏のひとときであった。