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放送日時 2017-12-15

2017-12-15OA 「座敷生活の心地よさ」

番組名:KYOTO space fountain ~きょうと空間創生術~

投稿日時 2017-12-15 13:15

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パーソナリティ) ローバー都市建築事務所              野村正樹 パートナー)  藤田瞳

写真は前号でもご紹介した、中京区にある老舗旅館「NISHIYAMA RYOKAN」の和室客室部分。

老舗旅館の良さを生かしながら、ホテル形式での運営を織り交ぜた、現代型旅館とも言うべきスタ

ルで、多くの観光客の人気を集めている。
そんな「NISHIYAMA RYOKAN」のリニューアルを通じて、再考することとなった「床座式」の良さ。

そのひとつめの特長は、視点の低さと、そこから生じる広さと落ち着く感覚である。もともと和室空間

は、私たちが床に座った状態でその姿が美しく見えるように、計画されている。床の間の高さや、障

子の寸法、天井の高さに至るまで、床に座したときに調和がとれるよう工夫が重ねられている。今回

の改装では、その寸法を丁寧に研究することにより、小さな座敷ではあるが、居心地のいいバランス

と広がりのある室内環境を構築することができた。
また、居間用途と就寝用途を兼用できるといった、その柔軟な可変性も「床座式」の良さとして挙げら

れる。限られたスペースを有効に活用するといった点において「椅子座式」と比べて空間の自由度は

高く、その用途に応じて、食卓をたたむ・座布団を出す等、素早く部屋の設えを整えることが可能であ

ることも特徴的である。
畳敷きであるために床にごろごろと寝ることができることも、「椅子座式」にはない良さであり、気楽に過

ごすことができるのも、旅の宿としては大きな魅力となる。

私自身、普段意識をすることがなかった、座敷生活の心地よさ。先人の知恵を改めて再認識すること

のできた、いい和空間の設計事例となった。