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放送日時 2017-04-21

2017-4-21OA 「唐紙が彩る、豊かなくらし」

番組名:KYOTO space fountain

投稿日時 2017-04-21 13:15

出演者情報

パーソナリティ) ローバー都市建築事務所
           野村正樹   

パートナー) 橋本沙抽里

音声

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創業1624(寛永元)年から約400年続く唐紙の老舗「唐長」。
御所に関わる武士だった初代千田長右衛門が刀を置き 職人の道にすすむ。
本阿弥光悦と俵屋宗達が主宰する京都鷹峯の光悦芸術村の出版事業に参加し嵯峨本の唐紙作りに携わり、
以降、唐長は琳派の流れを受け継ぐ特徴的な美意識を今に伝えている。
先日、唐長11代目・千田堅吉氏と女将・千田郁子氏が主宰する「唐長修学院本店&唐長IKUKOショップ」
を訪れる機会に恵まれた。創業以来 約300年間は京都・東洞院三条に本店を構えていたが10代目・千田
長次郎の頃に現在の地に移転をし、以後この修学院に本店・工房を構えている。
千田堅吉氏のモットーは、「その人のために唐紙を作る」。400年の年月を経て淘汰され洗練された文様に、
唐長独特の色彩感覚を加えることにより、現代でもなおモダンな文様として多くの人々から支持を集めて
いる。
併設された、「唐長IKUKOショップ」には、女将自らが選んだ美しい唐長の小さな唐紙の品が販売されて
いる。
唐紙のサンクスカード、輪宝文の左うちわ、便箋名刺など唐長限定の品々が多彩に取り揃えられ、豊か
で上質な暮らしの提案がなされている。
「唐長修学院本店」には、先祖代々受け継がれた約650種類もの唐紙版木が厳重に所蔵されている。
「朴の木」に手彫りで彫られた不変の文様と、純粋な和紙や顔料をつかい掌で優しく撫でる伝統技法を守り
ながら、400年もの長きにわたり「美」を追求し続けるその世界には無限のひろがりが存在する。
古都・京都の厳しい美意識に育まれながら醸成されたその究竟な世界観は、むしろ現代の暮らしにおいて
こそ新しく映る。
その清新な文様と微妙な色彩が織りなす彩りに囲まれながら過ごした、素敵な春のひとときであった。