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放送日時 2018-01-17

2018-1-19OA  「蚕の社の三柱鳥居」

番組名:KYOTO space fountain

投稿日時 2018-01-19 13:15

出演者情報

パーソナリティ) ローバー都市建築事務所
              野村正樹

パートナー)  橋本沙抽里

音声

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京都市右京区に位置する、「木嶋坐天照御魂(このしまにますあまてるみたま)神社」。

別名を「蚕の社」とも呼ばれ、京福電鉄の駅名にもなっている。この神社は飛鳥時代に創建された

古社とされ、境内には、古代、さまざまな先進技術と共に、養蚕技術を日本に持ち込んだ秦氏ゆか

りの「養蚕神社(蚕の社)」が東本殿としてまつられていて、現在でも製糸業者の信仰を集めている。

そんな神社の一角には「元糺(もとただす)の森」があり、現在、「下鴨神社」にある「糺の森」の名称

は嵯峨天皇の時代にここから下鴨の地に遷(うつ)されたともいわれている。大和朝廷の名門豪族で

あった賀茂氏と秦氏は、姻戚(いんせき)関係にもあり当時の親密さを物語っている。

境内の「元糺の池」にある「三柱鳥居(みはしらとりい)」=写真=は明神鳥居を正三角形に三つ組み

合わせた石鳥居で、京都三鳥居の一つとされ、三方から拝むこ とのできる形をしている。

三柱鳥居は、その三つの角の一つが中心から真北を向くように配置されている。そのまま真北方向に

線をひいていくと秦氏首長級の古墳であるとされている「双ケ岡」に至る。興味深いことに、中心からの

線を真北から左回りに120度ずらし、南西側にある角と結び、その線を延長していくと、秦氏氏神の「

尾大社」があり、対角の東北方向には賀茂氏氏神「下鴨神社」、さらに比叡山頂がぴたりと当てはまる。

また不思議なことに、同様に東南方向には醍醐寺、対角の北西方向には愛宕山山頂がある。

祭神が違う「下鴨神社」「松尾大社」「蚕の社」の神紋がいずれも「二葉葵」であることも大変興味深 い。

古代ロマンに思いを馳せながら、京都を再発見するのも空間創生の楽しみである。