ここから本文です。

放送日時 2017-11-04

2017-11-4OA 福岡県建築士会の防災の取り組み

番組名:きょうと・人・まち・であいもん

投稿日時 2017-11-04 15:30

出演者情報

福岡県建築士会 
藤田ゆか里さん 樋口はる香さん

【九州北部豪雨の支援活動】
被害があった朝倉地域は福岡県の南部に位置する山間部で築後川が流れています。
今回の豪雨で朝倉地域と大分県日田地域でかなりの被害がでました。建物の全壊が約280棟、半壊は1000棟を超えていました。また37名の方がお亡くなりになりました。川の氾濫は5年前にも起こっていたので地域の方も想定していたようですが、今回は山から流木を含む土砂崩れが各所で起きて想像を絶する被害になりました。
建築士会での支援活動は行政から要請が来なかったので、とりあえず支援物資や紙管間仕切りを持って避難所に行きました。紙管間仕切りというのはサランラップの芯のような紙の筒で柱と梁をフレーム状に組んで、カーテンをぶら下げて外から見えなくする間仕切りです。世界的な建築家の坂茂さんが災害時にプライバシーが全くない状況で生活することに対して何か改善しようと考えられたシステムです。まず中学校の体育館のマッサージ・コーナーに試験的に置いてみてはと提案して興味を示されたので設置することにしました。組み立ては現場で筒に穴をあけ、梁材を通してカーテンをぶら下げます。穴あけは工具が必要になりますが組み立ては一般の方もできる簡単な作業です。実は昨年6月に九州ブロックの建築士会で「建築士の集い」という大会を開催し、災害をテーマに講演会等を行いました。熊本地震で活動された坂さんや熊本の大学の先生にお話いただいて熊本で実際に使った紙管間仕切りを多くの方に見てもらおうと持ってきていたものを使いました。

 

その後、建築士会で他の避難所にも行き、救護や更衣室コーナー等に設置することができました。ただ避難所の方も最初は見たことがなく、なかなか受け入れてもらえなかったので、日頃からこういったものがあるということをお伝えしていく必要を感じました。また逆に、地域の繋がりが強く隔てる必要はないと感じられる方もいて場所によって考え方が違うことも勉強になりました。
今回、初めて被災状況を目の当たりにして、ニュースで見るよりも現地で自分の目で見たり耳で聞くことが大事だと思いました。また朝倉地域はコミュニティ力の高い地域なので安定した避難所生活が送れていますが福岡で被災した時は都会なので、もっと気をつけることがたくさんあると思いました。今回、様々な方と繋がりができたので今後も広げていく必要があると感じました。
先日、熊本の西原村の仮設住宅で出会った「もくもくプロジェクト」という支援活動をされている方とご縁があり朝倉の避難所に支援に来てくれました。住民が仮設住宅に移られて間もない時期だったので、住まいに必要な棚や踏み台等を作るワークショップをおこないましたが福岡建築士会以外にも大分や佐賀の建築士仲間も参加してくれて、とてもありがたいと思いました。現在、仮設住宅の方は避難所に比べると落ち着かれていますが、これまで住まわれた所とは違うので今後も支援も継続していかないといけないと思っています。

 

【防災どんたく】
平成17年3月20日に福岡で震度6弱の地震があり家屋が全壊する被害がでましたが、色々な所からご支援頂いて19年に「ありがとう福岡2007」というイベントを福岡市役所広場で開催しました。これは「支援してくれてありがとうとう、元気になりました」という感謝のイベントでしたが、その後、この地震を忘れず、防災のことを年1回考えようというイベントを毎年おこなっています。行政や民間、ボランティア等の様々な団体が参加していますが、建築士会では耐震や減災についてお茶を飲みながらリラックスして話しあう「防災カフェ」を行っています。また今年はショッピングモールで子供たちを対象に紙でできた家の模型を机の上で揺らして強い家の仕組みを考える企画をしました。300人を超える人が参加され、とても楽しいイベントになりましたが、親よりも子供の方が敏感で面白がりながら取り組んでいました。

 
藤田ゆか里さん          樋口はる香さん    

音声

RSS取得

MP3ファイルの再生/ダウンロード