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放送日時 2018-12-19

2019-1-5OA 新春特別放送

番組名:きょうと・人・まち・であいもん

投稿日時 2019-01-05 15:30

出演者情報

京都府建築士会 会長 高田光雄さん
同 まちづくり委員会 委員長 伏木道雄さん
下村委津子さん
まちづくり委員会 渡邉えみ

音声

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新春特別放送「京都大会は課題の整理 これから課題解決のステージ」

一般社団法人京都府建築士会会長 高田光雄さん

同 まちづくり委員会委員長 伏木道雄さん

高田会長:昨年度「山とまちと木造建築」をテーマとして開催された建築士会全国大会京都大会は、衛藤前会長の下、京都府建築士会のメンバーが一丸となって3年以上の時をかけた活動の集大成でした。これらの活動を通じて明らかとなった課題を京都大会では整理することができたので、本年度からは、課題解決のための活動を推し進める必要があると考えています。そこで、役員の皆さんと相談しながら「木の文化を育む建築・まちづくりの推進」をミッションとし、五つの事業を展開していくことにしました。

一つ目は、山とまちをつなぐ 森林文化や林業・製材業の課題を知り、積極的に建築に結び付ける活動を行うものです。

二つ目は、生活文化の継承と発展 これが非常に重要です。建物のことだけでなく、そこで行われている生活文化をどう継承、発展させていくのかを考えるも建築士の役割である、と。とりわけ、京都では、伝統的な建築と密接にかかわる生活文化の蓄積があり、それらを発見、継承していく活動は重要です。

三つめは、木を活かした建築づくり まず、木造建築の推進です。鉄骨造や鉄筋コンクリート造においても木を使うべきところには積極的に使う。木を使う意味をしっかりと考えていく事が重要だと思います。

四つ目は、住宅への原点回帰 文化にしても建築にしても原点は住宅であると考えています。学校や病院、商業施設であっても住宅が基本。住まいのあり方をもう一度考え直すことが木の文化を考えるにあたり重要なことだと思っています。

最後は、木のまちづくりの展開 家を単独の建物としてみるのではなく、まちとしてみることが大切だと思います。木の文化も家の文化も大事ですが、まちの文化をきちんと考える。それを継承発展していくことが大事です。

これらのミッションをメンバーが共有し、自分の部会や委員会で何ができるのかを少し掘り下げて考えてもらい、さらに議論を重ねながら事業を進めていきたいと思います。

そもそも建築士会は、地域貢献ができるということが最大のメリットです。建物は土地に固着しており、土地の上には社会があるわけです。その社会と一体になって建物は成り立っています。地域と無関係に芸術作品としての建築物があるわけではない。地域を考えることは建築を考える上で最も本質的な事だと思います。

 

伏木委員長:まちづくり委員会が行っているのは、主に生活文化の継承と発展木のまちづくりの展開ではないかと思います。烏丸五条付近の修徳学区では地域の取り組みが活発で、私たちが地域主導のまちづくりに参加しています。具体的には地域の良い建物を表彰したり、最近急増中のゲストハウスやホテルが地域にふさわしい建物になるよう知識を提供しています。三条においては博物館的に建物を保全するのでなく生活文化を含め残したいと思い協議会に参加しています。昨年は景観を残すきっかけになればとスタンプラリーを行いました。また、工学院高校と日吉ヶ丘高校では、委員会メンバーが出向き出前授業を行っています。工学院高校では地域の方の話しを聞き課題を解決すべく考えてもらい、日吉ヶ丘高校ではリニューアルされた校舎に対しバリアフリーとは何かを考えてもらっています。自分たちが考えたことでまちや校舎が変化するする可能性がある事を知ってもらい、今後まちづくりの担い手になってもらいたいという思いで続けています。

 

高田会長:まちづくり委員会のスタートが三条通です。そこでは、「異なる価値観の共存」が形になっています。異なる価値観同士は対立しやすいものですが、私たち建築士は異なる価値観の共存を常に考えねばならない。多様な価値観に対応した選択肢を次世代に残すことは現世代の使命です。建築士という自覚と共に活動することが重要だと考えています。

 

感想:出前授業では多くの選択肢を伝えられるように多くの引き出しをもっていかねばなりません。暮らし方住まい方が建物にあらわれまちをつくる。ミッションを心にワクワクして活動したいと思います。(渡邉 えみ)