ここから本文です。

放送日時 2020-01-30

2020-1-30OA 深層構造に想定し美術史を読み直す 「抽象の力」 著/岡崎乾二郎 亜紀書房 

番組名:本のソムリエ

投稿日時 2020-01-30 16:06

出演者情報

本のソムリエ) 大垣書店烏丸三条店
            倉津拓也

ナビゲーター) 松岡千鶴

音声

RSS取得

MP3ファイルの再生/ダウンロード

「本のソムリエ」  大垣書店烏丸三条店  倉津拓也

「わたしの一冊」 「抽象の力」  著/岡崎乾二郎 亜紀書房

本書の冒頭で著者は、印象派から後期印象派、キュビスムに至る流れに

おいて「眼(め)に実際飛び込んでくる情報と見ていると思っていた像のズ

レ」という自覚が共有されていた、と喝破する。

感覚情報の累積は決して対象のリアルな像をもたらさないという前提のもと、

「人が感覚を超えて把握し認識している対象のリアルかつ確実な姿こそを、

絵画として論理的に構築する」ことを目指したのがキュビスムであると。

注意しよう。著者の主張は、人間がイメージを超えた現実を認識することは

できない、という不可知論ではなく、視覚を超えた情報を「直(じか)に捉えて

いる」というものだ。