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パーソナリティ) ローバー都市建築事務所
旧西陣小学校の鉄筋校舎きょうと空間創生術
京都市上京区にあり、現在は廃校となっている「旧西陣小学校」。明治2年 (1869)、
上京第五番組小学校として創立され、明治17年1月に西陣の地名に因んで校名が西陣校へと
改称されたこの小学校は、平成9年(1997)に西陣中央小学校へと統合されるまで128年も
の間、地域に根ざした小学校として、その歴史を刻んできた。
現在の校舎は、昭和11年に建てられた鉄筋コンクリート造3階建て校舎である。
当時の「京都市陣尋常小学校改築工事設計図」(昭和8年7月京都市営繕課設計)を見ると、
工事は全体を三期の工事工程とし、その第一期分新校舎の竣工は昭和9年10月2日となっている。
新校舎の竣工を目前に控えた、昭和9年9月21日。後に、室戸台風と呼ばれる大暴風が京都を直撃。
明治40年代建造の西陣小学校旧木造校舎は一瞬のうちに倒壊し、521人の児童は校舎の下敷きと
なり、41名もの幼い命が奪われたのである。市内倒壊校舎13校のうち最も大きな被害を出したの
がこの西陣校であった。以降、市内の小学校は鉄筋校舎の建て替えが加速していくことになるが、
あと少し、隣の鉄筋新校舎の竣工が早かったなら、この大惨事は避けられたのである。
当時の設計図を眺めていると、京都市が近代化に向け、整然としたデザインのモダニ ズム建築を目指
していた設計姿勢が伺える。3階左手に突き出して見える部分は音楽教室。平成12年(2000)年には
我が母校の乾隆小学校の仮校舎としても使用されていた旧西陣小学校。年始に小学校の同級生と話をし
ていて、ふとそんな話を思い出したのである。