出演者情報
パーソナリティ) ローバー都市建築事務所
野村正樹
パートナー) 藤田瞳
京都には、古くからの町割が残る都心部などを中心に、多くの路地・袋地空間(細街路)が存在する。
写真は、幼い頃、毎日のように遊んでいた上京区五辻通にある路地風景。平成の現在も、40年前当時の
風情を残しながら、今も変わらずたたずんでいる。
京都市の調査結果によると市内全域でこのような路地は約12960本あり、その総延長は約941キロにも
及ぶといわれている。地域の人々に愛され、生活に密着したコミニティースペースとして親しまれてき
た路地空間。しかしながら一方で、建築基準法上の規制により新築をすることができず、建物の老朽化
や緊急時における避難・安全面も問題点として指摘されてきた。
京都市が条例を改正した「京都市細街路にのみ接する建築物の制限等に関する条例」。
来月からの施行を目指して、新しい取り組みが今、進められている。この条例により、今まで建て替え
が不可能であった路地についても一定の条件を満たせば、新しく建物を新築することが可能となる。
条例によると、風情ある景観の維持保全を図る「歴史細街路」、特に避難安全性の確保を優先する「特定
防災細街路」、路地の拡幅と建物更新を誘導する「一般細街路」の3種類に路地を分類し、それぞれの
地域特性に応じた柔軟的な運用が図れる仕組みとなっている。
これから新しく生まれ変わる路地の風景。より安心安全な住環境の構築に向けて、今後の運用が期待
されるとともに、慣れ親しんだ風情の継承にも注力していきたいと思うのである。