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放送日時 2017-11-27

2017-12-1OA  「床座式再考論」

番組名:KYOTO space fountain

投稿日時 2017-12-01 13:15

出演者情報

パーソナリティ) ローバー都市建築事務所
            野村正樹

パートナー)  藤田瞳

音声

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建築設計学における起居様式のひとつの概念として「床座式」と「椅子座式」という様式がある。

起居様式とは住居の中における住生活の様式を指す。簡単にいうと、昔ながらの、床の上に

正座をして食事をとり、畳の上で布団を敷いて就寝するスタイルが「座式」であり。これに対して、

椅子に着座しながらダイニングテーブルで食事をし、ベッドで就寝する欧米風の生活様式が

「椅子座式」と区分されている。

設計の仕事をしているとよく分かるが、個人の生活様式は、本当にさまざま、十人十色である。

私も住宅の設計を行うときには、クライアントの生活様式を毎回、詳細に聞き取りながら、その

人にとって、居心地がよく使い勝手のいい最適な居住空間を計画していくようにしている。

最近、私が建築設計をはじめた27年前当時と比べると「床座式」で日常生活をする人の割合

が減ってきていると感じている。すなわち以前より、床に座って食事をする人より、椅子に座っ

て食事をする人が増えてきているということであり、かくいう私も、若い頃は「床座式」の食生活

であったが、現在は「椅子座式」が主流となっている。

また、例えばフローリングの上に直接座ることや、畳の上にベッドを置く等、両方の様式が混在

していることも、外国からみると特殊なことのようであり、それも異文化を柔軟にに取り入れてきた

ひとつの特長ともなっている。

写真は、先日リニューアル工事を行った、中京区にある老舗旅館「NISHIYAMA RYOKAN」

の客室部分。近年減少傾向にある「床座式」の良さを再考させられた印象的なプロジェクトと

なった。=次号に続く=