出演者情報
【ただ今三条】
ゲスト:友愛診療所 中村悟史先生
担当: 内藤郁子
【会員紹介】
ビー・ブロックス一級建築士事務所
代表者 岡本順子さん
担当:竹山ナオユキ
アートでゆったり・安らげる診療所
この診療所のある建物は、私が武田五一設計の1928ビルが大好きで、設計士さんにそれを模したデザインをお願いして、7年前に建築しました。
私は京都府立医大の内科に10年以上勤め、それからしばらく父の診療を手伝った後、約2年前にここに診療所を開設しました。この辺りは御所南や高倉小学校も近いので、若いご夫婦も多く、また堀川の西側はお年寄りの方、独居の方も多い地区です。ここで私は「家庭医」を目指しています。各臓器別、性別、年齢にとらわれずに広く総合的な診療をしています。体調が悪い時、何科を受けたらいいのか解らない、また大病院は怖くて行きづらい、と思われますが、私は「あなたのかかりつけ医」として、どんなことでもご遠慮なく相談して頂けたらと思っています。また検査設備も整えています。経鼻内視鏡という鼻から入れる細い管の胃カメラを使いますので、苦しくない検査を受けて頂けます。
診療所のなかに「アート・イン・クリニック」と呼んでいるギャラリーがあります。ここでいうアートとは鑑賞するというよりも、患者さんが和んでいただくツールとして捉えています。どうしても診療所や病院は、怖い、冷たいというイメージがありますが、私の診療所にはいろんなところにアートがあり、また壁にはコウモリが飛んでいます。コウモリというのは古来より、幸福や幸運を呼ぶ縁起物、長寿のシンボルとされています。ここでは約200匹が壁に描かれていて、子どもたちはそれを数えて遊んでいたりします。ギャラリーは、若手の作家さんの作品を月替わりで展示しています。
また、診療所の上階にはちょっとしたスペースがあって、ここで年に2回、地域の方を対象に「生き活きサロン」という交流会を開いています。これは病気の話だけでなく、健康レシピや試食(前回はたまねぎ氷でした)、それに地域の方のよる余興なども同時に行います。毎回30~40名の方が来てくださいます。
また夏には「友愛ミュージックライヴ」という、アマチュアバンドを呼んでのライブを行います。昨年も8組のバンドが出演し、約100名の方が聴きに来てくださいました。今年も7月20日(日)に開催予定です。無料ですので、どなたでもお越しください。また、是非演奏したいと言う方がおられましたら、ご連絡ください。
三条通りは大好きですし、この地域で皆様に気軽に来て頂ける愛される診療所でありたいと励んでいます。
http://yu-ai-clinic.or.jp/index.php
(感想) とても気さくで温かい先生です。診療所内部は、落ち着いた照明でリラックスできるお洒落な空間でした。地域とも交流をもたれていて、こんな先生が近くにいて下さったら、とても心強いですね。(内藤郁子)
受け入れて、思いを引き出す
ビー・ブロックス一級建築士事務所 代表者 岡本順子(よりこ)さん
小さい頃からモノをつくるのが好きで、人をワクワク・ドキドキさせたいと思っていました。 ある時、町家をギャラリーに改修するプロジェクトに携わりました。その現場で、自分の描いた図面の通りに、空間の中に柱が立った時にはとても感動しました。職人さんたちからは「まだ柱1本やから」と笑われてしまいましたが… それ以来、空間をつくる仕事をしています。現場では、図面がガイドになりますが、大工さんや沢山の職人さんがいてはじめて空間がたちあがり、みんなの知恵や工夫でより良いものになります。それはすごく素晴らしいことで、そこに設計者とし て携われる喜びを感じています。
自分で意識するようになったのは最近のことですが、これまでの仕事を振り返ってみると、女性的なやさしい空間をつくっているなと感じます。 そして、日本人であって伝統文化が当たり前のようにある京都にいるからでしょう、日本的なものも何ら否定することなく受け入れて、設計に反映しています。
設計などの仕事の進め方について思うのですが、建物は、それを得るための費用も大きいですし、丈夫で安全なことや、使い勝手のいいことなど、色々な条件をクリアしないと建ちません。 それと同時に、人がそこに住んで、あるいは、そこでお商売をされて収益がでて、はじめて建物の価値は生まれます。ですから使う時のことを考え、使う人の意向を可能なかぎり理解するように努めています。 例えば打合せでは、施主の思いを、表立っていない部分まで引出して、それをご自身に意識させてあげて、その上で計画を進めています。 また、建物が完成して、お引渡しをした後は、建物の使用者には、設計通りでなくていいので、空間を自由に使ってもらいたいと思っています。 むしろ想像もしなかった使われ方を見ることが嬉しいし、そんなふうに建物と人が関われる空間をつくることを目標にして、仕事をしています。
建物の設計と並行して、ライブスコープと名付けた、人の身体に近いどちらかといえばプロダクト系のデザイン活動も進めています。 わたしたちの生活の中では、テーブルやカーテン、ファブリックスといったものは、インテリアの大きな要素ですので、建物つまりウツワだけを引き渡して終わるのでなく、生活のディテールに踏み込んで色々な提案ができればと日々考えています。
今年で事務所開設6年め、事務所登録の更新も滞りなく出来ました。自分では一つの区切りになりますが、これからも活動の幅を広げていきたいと思っています。