出演者情報
【大原の里づくり①子育て世代の定住】
ゲスト: 大原自治連合会 副会長 NPO法人京都大原里づくり協会 高倉哲法さん
担当:西田教子
【教えてスペシャリストさん①:地震と建物】
ゲスト:石山テクノ建設(株)代表取締役 石山孝史さん
聞き手:下村季津子さん
◆大原の里づくり① 「子育て世代の定」
大原自治連合会 副会長
NPO法人京都大原里づくり協会
高倉哲法さん
大原は、山に囲まれた川沿いに田畑が広がる自然豊かな地であることはもちろん、大原女に代表される昔からの生活文化が引き継がれる里で、かつ三千院・寂光院などに代表される寺社仏閣が多くある観光地でもあります。しかし、京都市内とはいえ、まちなかから離れているため、人口の減少に歯止めがかからず、急速に高齢化が進んでいる地域でもあります。
もともと私は、京都のまちなかに住んでいたのですが、子育ての地としての大原に魅力を感じて転居してきました。地域の小学校と中学校が、小中一貫校「京都大原学院」へ移行する大変な時期にPTA会長になったことをきっかけに、自治連合会の活動に関わるようになりました。先輩方に背中を押されるようにして始めた里づくり活動ですが、今ではこのすばらしい大原の里山と絆深い人々の生活を守るために、地域の活性化にとって一番の力になる子育て世代の移住・定住に特に力を入れて活動しています。建築士会さんの地域貢献活動センターの助成を頂いて今年作成した、「京都大原里づくりプラン」は、それらの活動の指針となるもので、10年前に作ったプランをより具体的に実現させるための内容となっています。この盛りだくさんの内容の中でも、空き家活用と市街化調整区域内での住宅確保は、子育て世代の移住・定住に直結している問題です。小出石町ではすでに地区計画が導入され、市街化調整区域内での住宅用地に対する開発規制が緩和されました。戸寺町でも間もなく導入予定です。
また、「NPO法人 京都大原里づくり協会」では、森との関わりを見直して、エネルギー循環を中心とした環境サイクルを現代の生活に生かす取り組みをして、次代に里の生活を伝えていく活動をしています。「里の駅大原」で開催されるイベントにも積極的に協力して、まちなかの住民さんとの交流を図っています。ここでは、生産者の顔の見える安心安全な野菜の直売所が大変好評をいただいていて、大原に来られた多くの方に立ち寄っていただいています。
まだまだ将来の話ですが、ペレット工場や公園を造り、炭焼き体験やまき割り体験、農業体験などの大原のあらたな観光資源の掘り起こしも同時にして、より多くの方々に大原を知ってもらい関心を持ってもらって、少しでも大原への移住・定住のきっかけになればと考えています。
コメント…
小川のせせらぎをBGMに、大原のこれからを夢と共に熱く語っていただきました。過疎化という、非常に重い問題に積極的に取り組んでおられる姿に、これからも大原を足繁く訪れてみたいと思いました。
西田 教子
◆教えてスペシャリストさん① 「地震と建物」
石山テクノ建設株式会社 代表取締役 石山孝史さん
今から17年前の阪神淡路大震災の朝、自宅の亀岡でお風呂に入っている時に強い揺れを感じ、タイルが落ちてきてはいけないと思い、風呂蓋を頭に被って揺れを凌いだ経験があります。日本は地震大国で、世界の地震エネルギーの1/10がこの狭い日本に集まっています。日本に住んでいる限り安全なところはないと断言できます。大きな地震が来る度に耐震基準が見直され引上げられてきました。耐震基準があっても阪神淡路大震災の時は、多くの建物が壊れました。あの大震災の時は仕事で現地に乗り込みました。多くの建物が壊れているのを目の当たりにして、人を守るはずの建物が倒壊し人を傷つけ命を奪っているというような事はあってはいけないという想いから、16年前に今の会社を設立しました。
阪神淡路大震災で亡くなった方の原因を調べると、震災が起こったわずか14分以内に92%の方が亡くなっています。窒息と胸部の圧迫によるもので、死者のほとんどが家屋の倒壊が原因で亡くなっている事が判明しました。耐震基準を守っている建物だと倒れないと思われている事が多いですが、実際は1回の地震でバサッとすぐには倒れないようにして、逃げる時間は保証しましょうという基準です。そうなので決して倒れないという訳ではなく、余震によって多くの建物が倒れています。逃げる時間は確保するというレベルなのです。その事を知っておいて頂きたいです。
だから耐震設計で重要になってくるのは、建物を倒壊させないという事に尽きると思います。倒壊させなければ、道路も塞ぎませんし、圧死される方もいませんし、火災も起こりません。従って倒壊させないという事が一番の目標になると思います。