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放送日時 2014-12-06

2014-12-6OA 山とまちと木造建築:森下武洋さん

番組名:きょうと・人・まち・であいもん

投稿日時 2014-12-06 15:30

出演者情報

京都北山丸太生産共同組合理事長
森下武肆商店代表 森下武洋さん

(担当)竹山ナオユキ

音声

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北山杉は、日本の林業の中で、一番短期間で製材として市場にだせる一方で、育てるにはもっとも手間ひまがかかります。また、各地の山では機械化が進んでいますが、北山では機械は使えません。丸太の木肌を傷つけてしまうと商品価値を失ってしまうために、600年前とほぼ同じように人の手で山から下ろさないといけないからです。
昭和50年代であれば、どんな家にも床の間がありました。ライフスタイルが変わって、今では結納や披露宴などは、まず家で催されることはありません。お客さまを家に招いて食事をする機会も少なくなりました。以前は、そういった家庭の中の行事は、床の間のある部屋で執り行われていたはずですが、そうはなくなったことで、床の間の必要性も感じられなくなったのでしょう。床の間がない、となれば、床柱の需要も限られるため、私たち北山丸太の生産者を取り巻く環境は、たいへん厳しいものがあります。ですから以前のように床柱や数寄屋建築への使用だけでなく、例えば洋風の建築の中でも、丸太の木肌を活かした新しい使い方が出来ないかと、様々な取組みをしているところです。

 木の良さ、また木の文化は、日本人が知っていないといけないことです。組合では、小学生から高校生までを受け入れた「木育(モクイク)」に力を入れています。まず、木とは何かを知り、そして木に触ってもらうのです。
特にこの地域は北山杉の産地ですから、北山杉がどのようにして育てられているのかを教わったり、山で実際に職方が枝打ちをするところを見学したり、マイ箸を作るなどの木工をします。箸はカンナをかけて自分で作るものですから、すごく大切に使ってくれているようです。会場になる京都北山杉総合センターの床は、杉の無垢のフローリングなのですが、そこに座った中学生から ”あっかいね”とか”やわらかいね”といった声を聞くのです。木に触れることで生まれる感覚や各自の新しい発見を大事にしたいですね。

あるセミナーで私の話を聞いた若い女性が、話が終わった後にやってきて、アイディアスケッチをみせてくれました。それは、北山杉の背割りの部分にLEDを組み込んだ照明でしたが、思ってもみなかった提案でたいへん参考になりました。実際のところ、40代より若いみなさんは、北山杉のことを知らない方が多いようですし、その女性もそうでした。ですから私ども組合では、ホームページの中で北山丸太の新しい使い方を積極的に紹介したり、知名度をあげるための様々な取組みをしています。多くの方に知らしめていくことで、新しい使い方の提案が出てくるのではと期待しています。むりに和室的なものを押し付けるのではなく、ユーザーのニーズを推し量って、現在のライフスタイルに合った使い方をアピールしていきたいです