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放送日時 2014-02-01

2014-2-1OA 冨永屋の会・グループとみじん 永井三千代さん

番組名:きょうと・人・まち・であいもん

投稿日時 2014-02-01 14:30

出演者情報

ゲスト:冨永屋の会・グループとみじん 永井三千代さん
担当:小澤えみ

【教えてスペシャリストさん】
日本特殊塗料株式会社 濱田亮さん
担当:下村委津子・竹山ナオユキ

音声

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おくどさん冨永屋の会・グループとみじん 永井三千代さん

向日町でいちばんの宿屋「富永屋」

私たちは、四〇〇年前より続く、かつては旅籠、宿屋であった屋号を「富永屋」という貴重な歴史的な価値をもつ文化財を、長く保存、活用しようと取り組んでおります。
この向日町界隈は、豊臣秀吉によって向日神社の前に町場を作ってほしいとおふれ書きがでまして、この西国街道沿いの両脇に商店が立ち並び栄えたところです。
十名前後のメンバーは勤めているものが多く、皆、忙しい合間を縫って、西国街道沿いに面したこの建物や向日市の町場を残したいと活動しており、現在、四年目をむかえました。
建物としては二八〇年前の江戸時代中期に建てられた古い建物なので、そのまま活用することは難しく、修復の際はイベントを兼ねて多くの方にご協力いただいております。
町家講座と銘うちまして、建物に関するお話やお茶会、お味噌作りやおくどさんで、実際にご飯を炊き、お味噌汁を作って食べていただく体験をしていただいております。
他には、四季に応じまして、桜の季節には桜の写真展示、端午の節句、七夕やお月見のお茶会、大きなイベントとしては二月から始まる西国街道ひな人形めぐりとして、資料館にご寄贈いただきましたひな人形等を展示します。
この西国街道ひな人形めぐりは、平成二十三年から数ヶ所で始めまして、毎年展示する店舗が増え、今年は三十一店舗の参加があります。昨年の来場者は七百人をこえる方が見学してくださり、このイベントを通じて、富永屋も全国的に知っていただけるようになりました。
また、西国街道を歩こうという、自分たちの地域を知る学習として小学生が見学にこられたり、向日市文化資料館で歴史の勉強をされて、こちらのおくどさんを見にこられたりします。
是非多くの方に来ていただき、昔の風情を感じていただきたいと思います。

 

 

 

 

濱田亮さん

濱田亮さん

膜は薄い、でも、奥が深い塗料のはなし

日本特殊塗料株式会社 濱田亮さん

(2月15日にも引き続いてお話を伺いました。内容はこちらに掲載しております)

塗料の起源を「塗る」という行為に則してみるなら、今から1万年以上前の石器時代のラスコー(フランス)の洞窟に遡ります。そこでは、炭や鉄鉱石の粉末と動物の脂肪とを練り合わせたもので壁画を描いていました。ここ日本では、9千年前の縄文時代の装飾品に赤漆が使われていたようです。 建物に目を向けると、平等院や神社の鳥居に塗装されている朱色は、ジャパニーズレッドと呼ばれ、古代から日本を代表する色です。赤には生命力を表したり呪術的な魔除けの意味もありましたが、塗料の原料には水銀や鉛が用いられていて、木の腐食防止も大きな目的の一つでした。

時代は下り、現代では、塗料自体の進歩はもちろんですが、それ以上に社会や時代性が求める様々なニーズに対応して、適材適所の提案が求められています。 例えば、ジャンボジェット1機分の塗料より、住宅1棟分の塗料の方が重いと言えば驚かれるでしょう。これは、塗料の種類で塗膜の厚さや塗装方法が変わった結果なのです。機能面でも、熱線を反射する塗料もあれば、一方では吸収するものもありますし、撥水性のものもあれば、吸水性のものもあるというように、様々な両極の特性の塗料もあります。 それらを、塗装する基材や塗装の目的、要求される性能などの観点から判断して、最善のものを選び、使い分けしているのが塗料技術の現状です。

建物に使う塗料で、比較的新しいものでは、"光触媒塗料"があります。光触媒とは、光の中の紫外線が塗装面に当たって、塗膜にある光触媒の機能が発動するものです。良く知られている例としては、トイレの衛生器具がありますが、1つ目の光触媒の作用で汚れを分解して、次に水が流れやすい状態(親水)になって表面の汚れを流します。施工することでの効果が高く、今とても注目をあびている塗料といえます。光触媒によって、タンパク質を分解する作用をうまく使って、臭いを分解したり、抗菌効果をもたせたり、汚れを付きにくくする効果を生むことが出来ます。
また、塗装によって建物の熱環境を調整することも出来るようになりました。 断熱と聞くと、ある程度の厚みのある発泡スチロールなどを使う断熱を一般にはイメージしますが、塗料を塗るだけで断熱効果を生む"断熱塗料"があるのです。この"断熱塗料"は、断熱性はありますが、時間が経つといずれは外の熱が中に伝わってしまいます。 また、少し違った効果のあるものとしては、それを塗ることで、外からの熱が入って来にくくなる"遮熱塗料"があります。それら2つを組合わせて使うと、外からの熱を遮熱塗料で遮り、中を伝わる熱は断熱塗料で抑制するという風に、熱的な効果が高まります。つまり塗装という比較的簡便な工事で、建物が外気の影響を受けにくくなるのです。ちなみに、遮熱作用を得るために遮熱塗料を厚く塗る必要はありませんが、断熱塗料は厚みが増せば、断熱効果は上昇します。
では、遮熱塗料による効果がどれくらいかと言えば、真夏の炎天下に、一方を遮熱塗料の黒の車、他方に普通の塗装の黒の車を置いて、車内の温度を比べてみたところ、遮熱塗料の車は他方より約15度低い結果になりました。そして時間をおいてもこの温度差は変わりません。種明かしをすると、遮熱塗料の黒っぽい色には、光を吸収しやすい「黒色」を使っておらず、色々な色を混ぜ合わせて「黒」をつくっているのです。
それらの断熱塗料や遮熱塗料は、何も特別なものではなくて、今ではDIYショップで購入出来ますし、消費者自身で塗装することも出来ます。ただし、きれいに塗装できるかどうかは、その方の腕次第ですね。