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益城町立広安西小学校長 井手文雄さん
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広安西小学校は熊本空港のある益城町にあり児童数は761名です。地震が起こった時、私はPTA会議が早く終わったので帰宅していましたが、学校では職員が翌日の学級通信や次週の準備で10名程残っていました。校舎は比較的被害は少なかったですが水道管が壊れたり雨漏りはしました。また子供たちが通る通路に段差がつくといった影響がありました。4月16日の本震の後は安否確認も含め相当の準備がいり連休明けの5月9日から学校を再開しました。また余震の後、すぐに地域住民の避難所になりましたが、本震があった16日夕方から天気が崩れがちになり震度5~6の余震が頻発していたので、たくさんの方が避難して来られました。その日は昼までは60人程でしたが夜には800人程になりました。また隣の総合展示場の駐車場に10000人位の人が避難したそうですが地域住民に限らず、たくさんの方が食料やトイレを求めて本校に来られ、かなり混雑しました。
学校は3週間休みになったので授業の進度も気にしながらの指導になりました。また心理的に大きなダメージを受けている子供もいたので心のケアや悩みを相談できる環境をいち早くつくるように心がけました。そこで東日本大震災を経験された専門家の方々からもお話を伺ってアンケート調査や子供たちとの接し方といった色々なことに知恵を絞って学校再開に備えました。
避難所が閉鎖される8月18日まで体育館と視聴覚室を避難の方が使われ、学校活動も一部制限がかかりましたが、避難の方と子供たちとの交流という貴重な機会がたくさんありました。また、たくさんの人、もの、義援金も含めてみなさんからご支援を頂きました。支援は年代層も多岐にわたり学生や一般の方、特技や専門性を持ったみなさんに来ていただきました。また学校では職員に色々な仕事を頼まないといけないので適任だと思う人に担当大臣になってもらいました。体育主任に交通大臣になってもらい通路や衛生管理をしてもらい図書主任にメリーポピンズ大臣として雨の日には楽しい図書室にしてほしいといったユーモアを交えて取り組みましたが、全国からたくさんの本を送っていただき子供たちも本に親しむ機会が増えました。心配していた子供たちの心のケアもかなり落ち着いてきましたが、時期や個人差もあるので今後も気を引き締めて、しっかり観ていく必要があると思います。地震の経験は子供たちの心に大きな影響を与えたと思いますが、多くの支援を受けてずいぶん励まされ、これからは自分たちが恩を返すようなことにがんばりたいと言っています。我々の予想を超えて元気を取り戻すことができたので、子供たちのこれからの活躍を期待しています。
今回、PTAのみなさんにも夜間パトロールや温かい汁物の炊き出しをして頂いたり、子供たちや避難者の為に活動して頂きました。学校も頼りにされましたが反対に地域の方にも助けていただき、今後に向けて地域のみなさんと一緒にがんばっていきたいと思っています。
◆小学校での避難所の取組みから、子供たちの学力や心のケア、住民との連携など地域にとって学校がいかに重要な役割を担っているかに気づかされました(江坂幸典)
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