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前半のコーナー”ただいま参上”/大柳製作所 大柳展也さん
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テーマ「金工の職人さん」 錺師の仕事〜自然体で伝統を守り継ぐ
上京区西陣で錺(かざり)金物を作らせてもらっています。錺金物とは、神社建築やお神輿の装飾金物、お稚児さんの冠や神楽鈴などです。神楽鈴は、神社で神職や巫女さんが手に持っておられる鈴で、舞楽やお祓いに使います。
金工の中で私の仕事は錺金(ほうきん)です。その他に鍛金、鋳金、彫金など技法によって色々な分野に分かれていて、一から十まで一人でするということはありません。特に京都ではいろんな職人さんがいらっしゃるので、各々の専門が集まってより良いものができるということです。
基本的に仕事は手作業です。鈴も叩いて作ります。古来より「さやさや」と表現される鈴の音は、邪気を払うといわれます。一つずつ心を込めて作りますが、そんなに音にこだわるわけではありません。
この仕事はわかっている範囲で一応、明治の末から私で5代目です。職住一致の家ですから私は小さい頃からずっと仕事の様子を見て育ち、普通に何となく継ぐのかなぁくらいに思っていました。先日、探し物をしていたらたまたま見つけた中学の頃の資料に、将来何になりたいかというところに「家業を継ぐ」と書いてありまして、自分でも少し驚きました。
伝統を背負っているというそんな大層な気持はありません。自然に継ぐというのが伝統になっていくのでしょう。今も父と一緒に仕事をしていますし、小学生2年の息子も仕事場で遊んでいて、神輿や神楽鈴などは日常のものだと思っているようです。息子に家業を継ぐことは強制しませんし、大きくなって他にやりたいことがあれば賛成します。
職人の仕事は、芸術家のような特別な才能ではなく、見て覚えての積み重ねです。これと同じものを作れと言われたら作れるわけですが、仕事の良い悪いはありますね。せっかく技術を持っているので、それを生かして新しい何かができないかと考えてはいますが、そこはなかなか難しいところです。
金物はずっと残っていくものですので、自分の仕事を先の人が見た時に「ちゃんとした仕事をしてはるなあ」と言ってもらえるようにと日々心がけています。
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