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放送日時 2018-11-03

2018-11-3OA 防災ーいまをつたえる

番組名:きょうと・人・まち・であいもん

投稿日時 2018-11-03 15:30

出演者情報

レジリェントシティ   統括監 藤田さん

 「レジリエント・シティ」、あるいはこの言葉のもとになっている「レジリエンス」という言葉の直接の意味は「モノが元通りに戻る力・回復する力・復元する力」とか、日本語で表現すると「強靭さ」とか「しなやかな強さ」になります。
 それを社会の在り方・都市のあるべき姿にも当てはめ、レジリエントなまち「レジリエント・シティ」のネットワークを作ろうと,アメリカのロックフェラー財団が世界に呼びかけ、京都を含む世界100都市が選ばれました。20年後50年後も京都が京都らしさを保っているために、今何をしておかなければならないかを市民みんなで考えて取り組む,というのがこのレジリエント・シティを考える時の合言葉になります。
 まだ馴染みが薄い言葉でしょうが、国際的に使われ始めたのは,2011年の東日本大震災の後からです。あれほどの厳しい災害にあったのに、人々がパニックや暴動を起こさず,整然と社会生活を営みながら復興に向けて努力している姿は,海外の人からは大変驚きを持って見られたようです。
 京都が千年以上にわたり、都市としての機能を失うこともなく都として続いてきたことは,まさにレジリエント・シティの象徴的な要素です。私たちは,今年だけでも6月の地震、7月の大雨、8月の台風と様々な経験もしました。幸い,京都では深刻な人的な被害はなかったのですが、普段,私たちが地域の中で営んでいる助け合いや支え合い、あるいは地域の行事など,当たり前に私たちが行っていることが,実は災害時にはとても重要で、「レジリエンス」という難しい言葉を使うまでもなく私たちの根底にあると思っています。例えば区民運動会は,町内ごとにチームを組み,自然とお互いに会話をしたり、協力する経験ができるのですが、大きな災害が起こって避難所に逃げ込むような場合には,この時の経験が生かされ,互いに顔を知っているのと,この人はどこの誰だろうと判らない状況でその場に集まる場合とでは、ずいぶん違う筈です。運動会は災害と関係ないように思いがちですが,実はいざという時には,まさにしなやかな強さに繋がるのです。
 レジリエント・シティと言っても,京都市の政策として,なにか目新しいことを打ち出すということではなく、それぞれの施策がいかに相互にかかわりを持っているのか、繋がり,連携し,相乗効果をもたらしていけるのか、という気づきが大きな柱になります。
 戦略では6つの分野をあげていますが、地域コミュニティと環境問題の関係などは,地域住民が自分たちのまちという当事者意識を持つことで、環境にやさしいまち・ゴミやエネルギーのこともみんなで考え合えるまちになるでしょうし、そうしたライフスタイルを打ち立てることもできます。また,文化や伝統の担い手を確保することが,次世代の人を育てるまちづくりにつながるし,ライフスタイルを見直すことにも関わってくる。そのように一人ひとりが、どのような役割を担えるのか考えられるようになれば,結果として災害時にも強いまちになっていきますし,レジリエンスが実現した社会になるのではないかと考えています。
 特に少子高齢化で人口が減ってきている現在、今までと同じことを繰り返すだけでは対応しきれません。この先,もっと大きな災害が来るかも知れない状況のもとでも,京都が,住んでいて良かった,いつまでも住み続けたい,育って良かったと実感できる魅力あるまちであり続けるために,今,何ができるのか。実は,レジリエンスの反対側には「自分さえ良ければ」「今さえ良ければ」という思い込みがあるように感じます。人にも,社会にも自然にも優しいライフスタイルに向けて,ハード面の対策ももちろん必要ですが、人と人の繋がりを安心して作れる社会という要素がとても重要だと感じています。

遠島感想
「レジリエンス」という言葉でいままで取り組んできていることも今までより以上に、より広くたくさんの人々に浸透していくことでしょう。つながりの大切さ改めて実感しました。

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