出演者情報
蔵屋はしもと 橋本 義彬様
御刀を後世に伝え文化財を残すお手伝いを
二条城の南向かいに店を構えて51年。元々祖母がコレクターだったことから始まり、現在は専門店として御刀やそれにまつわる美術品などに携わっています。
店にあるほとんどの御刀は家宝として代々受け継がれてきたもので、古いものは約800年前(鎌倉時代)のものもございます。この頃は他の時代のものより反りが強く、好みや使われ方の違いなど時代背景がうかがい知れます。御刀には登録証というものが不可欠で、蔵から出てきたので買い取っていただけませんか?と連絡をくださっても登録証のないものであれば取扱いができません。速やかに最寄りの警察署へ連絡をしていただき、発見届出済証をもらい教育委員会の文化財保護課にて審査を受けます。合格したものに「銃砲刀剣類等登録証」が発行され、はじめて美術品として所持保管できるようになるのです。
御刀の種類は3種類あり、長いものから「刀」、少し短くなり30㎝以上のものを「脇差」、未満のものを「短刀」といい長さの違いによって分けられます。その中でも日本文化特有の用途に合わせた呼び名が生まれています。たとえば女性用の懐刀であったり、脇差と短刀のあいだのものを前差と呼んだりします。
現存している鐔(ツバ)や目貫(メヌキ)の多くが江戸時代のもので、これらにはお城や龍、動植物の緻密な彫刻が施され装飾的な要素が大きく当時の流行が垣間見えます。
御刀の手入れとしては、主に年に2.3回、古い油をぬぐい新しくひき直すもので、酸素を遮断するものです。
近年では、このような手入れの仕方も含め教育の一環として中高生に対し体験学習を行っています。
実際に見て、触れて、歴史を知ってもらうことで次代を担う子供達に文化を理解してもらう入口となればと思っています。日本刀は日本が世界に誇る美術品であり日本人の精神のよりどころであります。大切な文化財を一人でも多くの方々に御刀を知っていただき後世に残すお手伝いをさせていただきたいと思います。