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夢はNASAから建築士へ
(株)アーキネット京都 村田裕基さん
小学校から中学校にかけては、NASA(アメリカ航空宇宙局) に入りたいと本気で思い、小学校の卒業文集にもそのように書いています。その後、私学の中高に進みました。高校生になると、大阪の友達と梅田や難波などに遊びに出かけることが多くなります。大阪で間近に高層ビルを見上げると、高い建物のない京都にずっと住んでいるせいもあって、本当にすごいなあと感じました。不動産業を営む父から高層ビルの話を聞くこともあり、その頃から自分で大きなビルを作りたい!と建築を目指すようになりました。NASAへの想いは何処へやら。。。
実際に京都大学工学部建築学科に行くと、ルイス・カーンやミースやライトなど優れたデザインの低層建築を学び、逆に高層建築は悪いモノのような、建築学科ならではの風潮があったようにも思います。僕は秀悦なデザインのものだけが良い建築ではないと考えていましたが、授業で大手ゼネコンの方のお話を聞く機会がある中で、大きな建築物を作ることは当然のことながら分業制となり、一人で最初から最後まで担当するということはあり得ないということを知るにつけ、それはちょっと自分の求めるものとは違うかなと。自分が全体を見渡せるそんな仕事がしたいと、少しずつやりたいことが見えてきた感じです。
就職を考えるにあたり、当時は大手企業や大手設計事務所を目指そうとしましたが、学部卒では難しく、実務経験を積むために今の会社を教授に紹介してもらいました。はじめはインターン、そしてアルバイトから正社員になったため、すでに10年以上在籍していることになります。31歳にして会社では古株ですので、今の仕事は平面詳細図を描くことなどではなく、マネージャーとして経営にも関わるような立場です。入社した頃から、築40年ほどのビルの、耐震を含めたリノベーションの仕事が多くなりました。昨今のホテルブームにも対応できるよう、設計事務所でありながら実際にゲストハウスの運営もしています。
もちろんデザインを大事にした上で、いただいた仕事が店舗でもホテルでも、ビジネスである以上はクライアントに稼いでもらわないと意味がないと考えています。これからは経営学や行動心理学なども勉強し、より具体的に的確にクライアントに説明やアドバイスすることでちゃんと稼いでもらい、がっつり設計料もいただくことを目指しています。