出演者情報
事業委員会
岡本章良委員長
小嶋隆副委員長
「建築士業」の根っこをささえる
委員長 岡本 章良さん
副委員長 小嶋 隆さん
事業委員会では、定期講習、既存住宅状況調査技術者講習、監理技術者講習を年間数回にわたって行っています。
定期講習というのは、平成20年11月28日に施行された改正建築士法により、建築士事務所に所属するすべての建築士に対して受講が義務付けられている講習です。建築士事務所に所属する建築士は、「業」として設計・工事監理等の業務を行うことが可能であることから、業務の実施に当たり必要となる能力を確実に身に着けておく必要がありため、3年度ごとに最新の建築関係法令等について、習得していただく趣旨のものです。毎年5回実施しており、うち1回は北部で行っています。
既存住宅状況調査(インスペクション)とは、構造耐力上主要な部分(基礎・壁・柱等)に生じているひび割れや、屋根、外壁等の雨漏り等による劣化事象・不具合事象の状況を、目視、計測等により調査するもので、平成28年6月に宅地建築取引業法が一部改正され、平成30年4月から既存住宅の売買時に「既存住宅状況調査」に関する説明が義務付けられました。この既存住宅状況調査の実施は、登録機関の講習を受講し、修了考査に合格した建築士のみに認められています。この講習を年4回、うち1回は北部で行っています。
また、建設業法第26条2項の規定により、元請負の特定建設業者が当該工事を施工するために締結した下請け契約の請負代金総額が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)の工事には、監理技術者を専任で配置することが義務付けられおり、監理技術者として建設工事に携わる方は監理技術者講習を受講しなければなりません。監理技術者の職能は、施工計画の作成、工程管理、品質管理その他技術上の管理及び工事の施工に従事する者の指導監督です。下請け人を適切に指導、監理するという総合的な役割を担うため、主任技術者に比べ、より厳しい資格や経験が求められます。この法定講習は年5回行っています。
これらは、公益社団法人日本建築士連合会からの委託によるものですが、京都府建築士会が独自で行っていますのは、二級建築士設計製図試験受講者講習です。
毎年20名ほどの受講生を募集するのですが、今年はコロナ禍であったため人数を絞って開催しました。7月18日の土曜日から基本コースが2日間、製図の応用コースが6日間、計8日間の講習になります。CADを使って図面を描く時代ですので、手書きに慣れておられない方が受講されています。
コロナ対策が必要だったため例年に比べ準備するものも多かったですし、講師である建築士会のメンバーには負担をかけますが、他府県の建築士会が参考にさせてほしいと見学に来られたぐらい経験を積み重ね充実した内容なので、続けて取り組んできたいと思います。
講習のほかには、「まもりすまい保険」を担当しています。
平成17年に姉歯事件(構造計算書偽造問題)をきっかけとして、20年に住宅瑕疵担保履行法ができました。新築物件については瑕疵の発生に備えて保険か供託による資力の確保が義務付けられたものです。京都府建築士会では、住宅保証機構株式会社のまもりすまい保険(住宅瑕疵担保責任保険・住宅瑕疵担保責任任意保険)の京都府下全域の窓口となっています。京都北部から南部まで建築士会のメンバー21名が、検査員として登録しています。
住宅事業者は、床や柱が傾いているや、外壁、屋根から雨漏りをした場合、所有者に対して無償で修繕を義務づけられています。構造耐力上主要な部分や雨水の侵入を防止することについて、一定の基準を定めていますので、検査員は正しく施工しているかを建築工事中に目視、計測により確認します。検査を合格した建物が無事に完成し引き渡した日から10年間保険期間となります。
今年度は開催しませんでしたが、京都市の補助金事業として3年間にわたって若手建築士のための木造建築セミナー「京の住まいをつくる」を行っていました。また機会があれば事業委員会で生み出す講習もしていきたいと思います。
(感想)
定期講習や瑕疵担保保険など平成17年に明るみになった姉歯事件を元に建築に関する様々なことが変化したのですね。住まいを守ることは人を守る事。倫理観をもって邁進せねばなりません。