ここから本文です。

放送日時 2015-10-03

2015-10-3OA  木のスペシャリスト 石田一雄さん

番組名:きょうと・人・まち・であいもん

投稿日時 2015-10-03 15:30

出演者情報

辻井木材株式会社  取締役
(一社)京都府木材組合連合会 
木材ネット コーディネーター

石田 一雄 さん

音声

RSS取得

MP3ファイルの再生/ダウンロード

近年国産材、京都府内産材を使う動きが活発になっています。それは、先の戦争により森林がなくなり、再生するため植林した木々が昨今伐採の期を迎えたためです。

この木々を伐採せずに放置すると、すでに成熟林になっているため荒廃が始まる危険があります。

普通であれば、森林は二酸化炭素を吸収し、地球の環境にも貢献していますが、成長しきった木はその役目が果たせないためしっかり伐採、間伐という手入れをし、再生(植林)する森林の回転をしていくことが重要です。

加えて、公共施設は従来RC造もしくは鉄骨造でしたが、国の方針が数年前にかわり、本来の住宅に加え、小学校や老人福祉施設などの公共施設は基本木造でできる限り建てていこうということになりました。より人に近く住みやすい木造の良さを生かして安全、安心できる建物を造る流れの中で、京都府内の森林も伐採の時期を迎えているため、活用してくことによって環境保全、そしてより地産地消として、地元の雇用促進にも役立つであろうと考えます。

木材は自然の産物であり温かみや香りなど様々な要素があり、五感で接して何らかを感じとれる素材です。昨今学校の教育でも「木育」という言葉があり、感性を育てる役割を持っていると思います。

京都府では、【緑の交付金】という制度をつくっており、緑の事業体(工務店・設計事務所)として登録し認定された業者に発注された場合、新築であれば5㎥以上になると、1㎥あたり一万円、リフォームで内装材に木材を使われた場合など1㎡あたり二千円の補助金が得られます。いずれも上限は四十万円ですが、この制度を活用していただき府内産材を多く使っていただきたいと思います。

日本では気候に合う木造建築が住宅の主体であり、柱や梁、桁など主要構造物に木材を使ってきました。しかし、一方で地震大国であり、耐震性や密集した地域の火災に対する消防法上の問題があり、大規模の建築物には敬遠されてきました。それが技術革新により加工された集成材を生産することで狂いが少なく構造計算しやすい製品が伸びてきました。これにより将来的にはスウェーデンやカナダのような多層階の木造建築物も夢ではないと感じています。

また、木材コーディネーターとして樹種の規格、その木の良さを様々な方にPRしています。

効率よく短期間で現場を納めるために、プレカットした材料を使うこともあるでしょうが、工場で加工が可能なリミットや樹種により強度等級が異なることも知っておく必要があり、設計段階でご相談くだされば、適した材料を適した寸法で設定することで、発注者や施主の意向に沿ったかたちで経済設計に繋がると思います。

府内産材を資材として壁面パネル、小学校の机、書棚、事務用のテーブルや椅子、積木など多種にわたり製造しています。それらを使っていただき、山に思いを馳せ、山や製材所を見学なさるなどご自分の目で見て触れて感じていただきたいと思います。

2015-10-29 10.23.39