三条寺町に、7月にオープンした鞄やストールのお店で、本店は東京の秋葉原にあり、国内外で30店舗運営していますが、京都では初めての店です。『途上国から世界へ通用するブランドへ』というコンセプトで、11年前に始めました。弊社の代表の山口絵理子が国際機関で活動していた際、先進国が行っている援助がちゃんと途上国で行き渡っているのかという疑問が湧き、バングラデシュの大学院に2年間通いました。その時にジュートという麻の生地に出会い、これで可愛い鞄を作ったらビジネスとして継続性を持ってやっていけるのではないかと思い、そこで鞄を作り始めたのが私たちの始まりです。
現在、生産はバングラデシュに加えネパール、インドネシア、スリランカの4か国で行っています。途上国で生産というと、他の国から素材を持ってきて、先進的な技術で作らせるということもありますが、私たちは、その土地で採れるものや、育っている技術というものを活かす、ということを理念としています。もともと地元にあるんだけれど知られていないとか、可能性があるのに光が当たっていないとか、そういう物を輝かせていくことが、彼らのやり方や文化に合い、そうして生まれた商品が彼らにとって力強いものになっていくということを、当初から大事にしています。
山口は創業者でもあり経営者でもあるのですが、年の半分くらいは現地に行って、それぞれの土地で、鞄、ストール、ジュエリーのすべてをデザインしています。いずれも大量生産ではなくて、手仕事で一つ一つ作っています。そのことによって、不均一なところもあるかもしれないけれど、それも個性であるという風に捉えています。逆にその個性が、温もりになったり、愛着をもって長く使って貰える、ということに繋がっていると思います。
京都に店を開いて2ヶ月になりますが、京都の方は、途上国の事も含めて「持続可能」に対する関心が深いと感じます。長く使うための修理やアフターケアについてのご質問も多く、私たちも丁寧にお答えしています。またいつでもお店に持ってきて頂いたら、磨いたり色を補ったりとかいうことも無料でさせて頂いています。
私たちはお店を作る時も、床貼りや棚づくりなど、できるだけ手作りでするようにしています。それは自分たちが素材や作り方を知っていることで後に修理が出来たりとか、お店への愛着も持ったりします。そういう精神を大事にしていて、それは製品のものづくりと同じです。伝統や良いものを大事にされる京都で、末永く愛される店でありたいと思っています。
(感想)
柔らかくて軽くてシンプルで使いやすそうな素敵な鞄が並んでいます。そして何よりも温もりを感じます。次に自分にご褒美を買う時は、ここで選ぼうと思っています。(内藤郁子)