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放送日時 2013-06-29

2013-06-29OA 夏越の大祓

番組名:京都まちなか一口メモ

投稿日時 2013-07-02 17:37

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こんにちは、山田章博です。
このところ、ようやく梅雨らしく雨の日が多くなって来ました。
そんなことを思っているうちに、明後日からはもう7月です。
祇園祭が始まります。

京都三条ラジオカフェでは、2003年の開局から毎年
祇園祭を歩いてお伝えするライブ番組
「祇園祭ウォーク」をお送りしています。
私はこの「祇園祭ウォーク」のナビゲータも務めています。

祇園祭ウォークでは2005年から毎年ひとつの山鉾をテーマに
その準備風景から宵山、巡行までをきめ細かくお伝えしています。
これまでにお世話になった山鉾は以下の通りです。

2005年:橋弁慶山(はしべんけいやま)
2006年:八幡山(はちまんやま)
2007年:菊水鉾(きくすいほこ)
2008年:綾傘鉾(あやかさほこ)
2009年:保昌山(ほうしょうやま)
2010年:郭巨山(かっきょやま)
2011年:鯉山(こいやま)
2012年:芦刈山(あしかりやま)

そして今年、2013年は「霰天神山(あられてんじんやま)」です。
霰天神山をテーマにお送りする今年の祇園祭ウォークについては
来週7月6日(土)に、じっくりお話ししたいと思います。
そして、もうひとつ、今年の祇園祭には特別な意味があります。
それは、昭和41年(1966年)から続いて来た現在の山鉾巡行の形態が
今年を最後に、来年から変更になる可能性が高い、という事です。
これについても、再来週7月13日(土)にお話しする事にしましょう。

今日は、祇園祭とも縁の深い6月末の神社での行事
「夏越の大祓(なごしのおおはらえ)」についてです。

<京都で行われる夏越祓(なごし)茅の輪くぐり>
<京都通(京都観光・京都検定)百科事典/夏越祓(なごしのはらい)>
<京都を歩くアルバム/吉田神社で夏越大祓式>

大祓(おおはらえ)は6月末と12月末に、各地の神社で行われる行事です。
半年間に降り積もった「穢れ(けがれ)」を祓い落として
健康・繁栄・幸福を取り戻すための儀式です。
いわば半年に一度の「リセット」なわけです。

現在、夏越の大祓は通常、6月30日(今年は日曜日)の日中に行われます。
神社に氏子のみなさんが集まって、大祓の祝詞を唱え、お祓いを受けて
チガヤの葉を束ねて作った大きな輪「茅輪(ちのわ)」をくぐります。

<吉田神社の夏越大祓/2013年6月30日16時〜>

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そしてチガヤの葉を受け取って持ち帰り、輪にして玄関先などに掲げます。
これがそれぞれの家のお祓い、お清めになるとされています。

夏越の大祓は本来「夏至(げし)」の行事でした。
夏至は一年で最も昼の時間が長く、太陽が最も高く昇る日です。
また一方、冬の大祓である「晦日の大祓(みそかのおおはらえ)」は
本来は冬至(とうじ)の行事でした。

今年の夏至は6月21日でした。さらに正確に言えば、夏至は「瞬間」です。
つまり地球から見た太陽の緯度が最も高くなる瞬間です。
今年は世界標準時で6月20日午前5時3分(日本時間午後2時3分)だったのだそうです。

この夏至の日まで、太陽は日に日に勢いを増して来ました。
しかしこの夏至の日を境に、今度はだんだんとその勢いを弱めて行きます。
夏至は太陽のパワーのピークであり、上り調子から下がり調子に変わる境目です。
その境目の日、世界のモードが一方から他方に変わる日に行う儀式が「大祓」なのです。

太陽の力は植物の成長などを通じて「恵み」をもたらしてくれますが
一方で、その熱と温度は、害虫や細菌を繁殖させ、食中毒や疫病をもたらします。
さらに集中豪雨や台風の来襲などによる水害の危険も増します。
太陽のパワーが衰える7月、8月にその脅威が本格化して来ます。
昔の人々はこうした穢れを霊的に清める儀式として「大祓」を始めたのでしょう。

祇園祭もまた、広い意味で「大祓」の行事と考える事ができます。
もともと祇園祭の原型である「祇園御霊会(ぎおんごりょうえ)」は
旱魃の年に雨を乞い、飢饉を防ぎ、豊穣と健康を願って始まったとされています。
神聖な武器である「鉾(ほこ/槍の一種)」を立てて
邪気を祓うのがその起こりです。

八坂神社ではその末社である疫神社で、毎年、祇園祭の最後の行事として
7月31日のお昼前に「疫神祭(えきじんさい)」と呼ばれる大祓が行われます。

明日、6月30日は、みなさんもお近くの神社の「夏越の大祓」へ
お出かけになってはいかがでしょう?そして、
7月1日から31日まで、1ヶ月かけて行われる祇園祭を
壮大な大祓としてご覧になると、また新しい発見があるかも知れません。