こんにちは、山田章博です。
5月の末に梅雨入りが発表されてから、ずいぶん永く晴天の夏日が続いて来ましたが
今週の後半は一転して、雨の日が続いています。
しっかりとした前線が西日本の上空に居座って台風4号へと吹き込む湿った南風が前線を刺激し、
特に四国や紀伊半島の太平洋岸の地域では大雨になっているようです。
<24時間積算雨量(2013年6月20日13時〜21日12時)>
土砂災害や浸水などの被害には十分にお気をつけいただきたいと思います。
この季節になると、どうしても思い出し
毎年、この番組でもお話ししているのが
昭和10年6月末に京都を襲った大水害です。
私たち、現代の京都のまちに暮らしている者にとっては
京都は災害が少ない安全なまちのように考えがちですが
昨年は宇治市で天井川である「弥陀次郎川」などが決壊して
多くの建物が浸水する被害もありました。
2012宇治市豪雨災害・現地写真レポート(防災システム研究所)
京都は決して、災害のない街ではないことを
改めて思い起こしたいと思います。
昭和10年の水害は6月28日から29日にかけての豪雨によって
桂川や鴨川など多くの河川が氾濫し、
京都の市街地の広い範囲が浸水するとともに
鴨川などに架かる橋のほとんどが壊れてしまう、という
大規模なものでした。
この水害では、京都市内で83人の方が亡くなっています。
鴨川はこの水害の後、戦後にかけて大規模な改修が行われました。
現在の鴨川はその時に深く掘り下げられて、現在の姿になりました。
それまでの鴨川の河床(川底)は、現在、私たちが散歩などに利用している
河川敷の高さと、ほぼ同じだったそうです。
この改修工事によって、鴨川は
それ以前とは比較にならない程、安全な川になりました。
<鴨川/四条大橋より北を見る>
でも、油断は禁物です。
近年増えている「ゲリラ豪雨」や、
アスファルトで固められた道路、コンクリートの建物など
現代には昔とはまた異なった、水害を大きくする危険要因もあります。
気象の情報、災害の警報などには十分に気を配ってください。
また、京都市などで作成している「ハザードマップ」などで
お住まいの地域の災害の危険性も十分に把握していただきたいと思います。
昭和10年の京都大水害は、その前年に近畿地方を襲い
各地で大きな被害をもたらした「室戸台風」によって
京都の周辺の山林も倒木などの被害を受け、
これによって、森林の保水力や治水機能が低下していたことも
水害の規模を大きくした一因と考えられています。
市街地だけでなく、山林の環境にも気を配りたいものです。
昭和10年といえば、今から78年前です。
憶えておられる方も、次第に少なくなっていることでしょう。
もし、みなさんのまわりに、
この水害を憶えておられるお年寄りがおられましたら
是非、お話しをお聞きください。
そして、
その記憶をしっかりと後世に伝えていただければと思います。