「今週の本のソムリエ」 大垣書店烏丸三条店 倉津拓也
「わたしの一冊」 「デッドライン」 著/千葉雅也 新潮社
暗闇の中、主人公の目は無数の男たちを追っている。
男たちは一人また一人と暗闇の奥に消えてゆく。
「群れなして回遊する魚のように」
千葉雅也さん(40)の小説『デッドライン』(新潮社)は、出会いを
求めてさまようハッテン場から物語が始まる。
デビュー作ながら、芥川賞の前哨戦とも言える野間文芸新人賞に
決まった。本業は、表象文化論が専門の立命館大学准教授。
『動きすぎてはいけない』や『勉強の哲学』が思想書として異例のベスト
セラーとなった気鋭の哲学者。