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放送日時 2015-02-12

2015-2-12OA 新妻義輔さん(元朝日新聞大阪本社編集局長)

番組名:京都けんぽうラジオ

投稿日時 2015-02-12 07:06

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新妻アップ1

・安倍首相は、日本を「戦争ができる国」にしようと懸命です。2014年7月に集団的自衛権の行使容認を「閣議決定」して 、今年の春以降、中東など海外で具体的に自衛隊が動けるようにするための法律をつくろうとしています。
・わたしは、世の中の出来事や政府の決定一つ一つについて、憲法と照らし合わせて考えています。ですから、横10センチ、縦14センチの小さな冊子に収められている「日本国憲法」と「あたらしい憲法のはなし」の2冊をいつも持ち歩いています。「新しい憲法のはなし」は68年前、1947年5月3日に今の憲法が動き出した3ヶ月後の8月に、文部省が中学一年生用の社会科の教科書として発行したものです。
その中で、「戦争は人間を滅ぼすことです。世の中のよいものをこわすことです。こんどの憲法では、日本の国が、決して二度と戦争をしないように、二つのことをきめました。そのひとつは、兵隊も軍艦も飛行機も、戦争をするためのものは、一切もたないということです。これからさき日本には、陸軍も海軍も空軍もないのです。これは戦力の放棄といいます。「放棄」は「すててしまう」ということです。しかし、決してこころぼそく思うことはありません。日本は正しいことを、ほかの国より先におこなったのです。世の中に、正しいことぐらい強いものはありません」
もう一つは、「よその国とあらそいごとがおこったとき、決して戦争によって、相手をまかして、自分のいいぶんをとうそうしないことを決めたのです。おだやかに相談して、きまりをつけようというのです。いくさをしかけることは、けっきょく、じぶんの国をほろぼすはめになるからです。これを戦争の放棄というのです。よその国と仲良くして、世界中の国が、よい友だちになってくれるようにすれば、日本の国は、さかえてゆけるのです」

・イスラム過激派組織「イスラム国」が日本人2人を拘束して殺害を予告している事件で、人質になっているジャーナリスト後藤健二さんの母、石堂順子さんは2015年1月23日、日本外国特派員協会の会見で、「日本は戦争をしないと憲法9条で誓った国です。70年間戦争をしていません」と訴えました。日本が戦後70年間、「殺さない 殺されない国」に徹してきたことは、戦後日本の巨大な資産です。
・戦争の放棄、戦力を持たないと世界に誓った憲法9条は理想主義ではなく、民族と国境をこえた国と国との紛争は軍事的にではなく、政治的・外交的に、文官や民間人が関わって相手と接触して、交渉する以外にないという、2度の世界大戦から学んだ現実主義そのものなのです。
・2014年7月におこなわれたNHK文化研究所の世論調査では、「今後の日本の平和を守るために最も重視すべきこと」は何かとの質問に「武力に頼らない外交」が53・4%、「民間レベルでの経済的・文化的交流」が26・%、「武力を背景にした抑止力」はわずかに9・4%でした。今の憲法は1947年5月3日に施行されてから68年たっており、平和を愛する国民の良識が広く深く根を張っていることがわかります。