「けんぽうサロン京都」は10月12日で放送100回になりました。これを記念して憲法9条京都の会の代表世話人・安斎育郎さんに出演いただき、通常の9分間を15分間に延長して放送しました。
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最近、北朝鮮の核開発問題が世界的な問題になっている。北朝鮮は、アメリカを交渉に引きづり出すために、核保有国として認知させ、援助をさせようと瀬戸際作戦をとっています。このような武力の緊張関係を高めていくと、ふとしたことから核事故がおこりかねないと心配しています。そもそもアメリカが核によって世界を支配してきたことによる鬼っ子みたいなものです。アメリカが北朝鮮に核兵器を持つなと言っても、ヘビースモーカーの禁煙運動のようなもので、説得力がありません。中国やロシアも心配しています。
日本国憲法は、1947年に誕生しました。この憲法には、核に関する条項がない。本来、広島・長崎の悲惨な体験をした唯一の戦争被爆国として、核兵器の全面禁止を謳うべきではなかったかと思うが、これは戦後占領したのが原爆を投下したアメリカであった事情が反映したのです。7月7日国連で核兵器禁止条約が122か国の賛成で採択され、核兵器禁止条約が実現する見通しになりました。長年の被爆者たちが、思い出すのもつらい体験を世界に訴え続けてきたのが、実りつつあります。
残念なのは、日本政府が交渉会議に加わらず、禁止条約に反対の立場にたっていることです。核保有国と核の傘に守られていると思っている日本・韓国・ドイツなどが、禁止条約に背を向けています。日本政府の評判がよくない象徴として、交渉会議の日本政府の席に世界のNGOの人が「I wish you are here(あなたがここに居たらよかったのに・・・)」と書いた折り鶴を置いていたことがありました。
憲法9条は、1項で戦争放棄をして、2項で前項の目的を達するために陸海空軍その他の戦力を保持しない、そして国の交戦権を認めないと謳っています。最近、安倍首相は、この9条に国民が受け入れている自衛隊を付け加えるといっています。たとえ内容が矛盾していても、彼は歴代首相のなかで唯一憲法を変えた人という実績をつくりたいということでしょう。99条で「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」とある。この枠組みの中にいる人が憲法を変えようとしている。まさに憲法違反です。
今まで政府は、「自衛隊は戦力ではない」と矛盾した説明をしてきました。そしてその延長線上に、1957年岸首相は「自衛のための最小限度を超えない限り、核兵器保有は憲法違反ではない」と言い、1998年には内閣法制局長官が「核兵器を使うことも、自衛のための最小限度を超えない限り、憲法違反ではない」と言ってきた歴史がある。9条があるにもかかわらず、核兵器を持っても、使ってもいいという国になっています。
私は、憲法の基本的精神を守り発展させることが必要だと思っています。全国で講演をしてきました。憲法9条京都の会の代表世話人も引き受けました。最近思うことに、九条の会主催の集まりに出席している人は、ほとんど9条が大事だと考えている人たちです。通りを歩いているあまり憲法を考えたことがないと思われる青年に考えてもらうような取組みの工夫が求められています。全国に7,000にものぼる九条の会があるが、これを発展させることが大事。もっと、総がかりで発展させたいです。
立命館の平和ミュージアムの玄関ホールに「わだつみの像」があります。毎年、12月8日に立命館は「不戦のつどい」を続けてきたが、若い人にもっと自覚をもってもらうためにアピールを続けて行きたいです。
先日、50年ぶりの中学校の同級生がミュージアムに来てくれました。その後手紙で「お互い歩んできた道は違うが、中学校の時に教わった憲法の精神はわれわれに息づいているね」と。あらためて教育の大切さを感じました。
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放送日時 2017-10-12