出演者情報
ローバー都市建築事務所 代表 野村正樹
チーフプランナー 山本ちなつ
音声
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「城下町宮津七万石 和火(やわらび)」
京都の南北をつなぐ京都縦貫自動車道が今年の夏に全線開通した。
京都市内から丹後方面への移動がとても便利になり、丹後への観光客増加の嬉しい ニュースも聞かれる。
先日、私の生まれ故郷でもある宮津に帰省する機会があった。ちょうど宮津市内で「城下町宮津七万石
和火(やわら び)2015」 が開催されていたこともあり、母と二人で秋の夜の宮津に繰り出した。
和 火(やわらび)とは城下町で栄えた宮津市内に再び光りを当て、毎年この秋の季節に夜の寺町を竹や
ペットボトル、LEDな どの約1万 個の手作り灯籠でライトアップをし、ジャズや箏の演奏、郷土芸能など
を自由に楽しみながら、宮津の歴史文化に触れる市民参加型の手作りイ ベントである。
三日間に渡って開催されるこの和火では、お寺、通り、教会などで様々なイベントが同時開催されており、
秋の調べを聴きに旧三上家住宅へ向っ た。旧三上家住宅とは平成15年 に国の重要文化財に指定されたお
屋敷であり、宮津藩主・永井信濃守に仕え、その後町人となった三上氏の旧家である。三上家は次第に繁
盛 し、酒造業・廻船業や糸問屋などを営み財をなし、天保9年 には幕府巡見使の本陣となった。戊辰戦争
の際には、西園寺公望の宿所となったことでも有名である。
1783年 に建造された主屋の吹き抜けは豪壮な小屋組みや竹を並べた野地が見え、床はたたき漆喰の土間で
出来ている。修復工事により復元された空間 は、懐かしさを感じさせられるものであった。
長年生まれ育った宮津の町でこのようなイベントが開催されていることは、嬉しくもあり改 めて郷土への
想いを強くさせる。夜空に映し出された旧三上家住宅の美しい外観は幻想的な表情であった。そんな歴史を
感じる空間で秋の夜長に箏 や尺八の調べを聴きながら、贅沢なひと時を過ごした週末となった。
<文・山本ちなつ ローバー都市建築事務所 チーフプランナー
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