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放送日時 2015-12-18

2016-1-1「現存最古の権現造」

番組名:KYOTO space fountain

投稿日時 2016-01-01 13:15

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新年を迎え、初詣に行かれた方も多いのではないだろうか。
京都における初詣の参拝者数は例年、伏見稲 荷大社が一番多く(約277万人)、八坂神社(約105万人)
▽北野天満宮(約47万人)▽地主神社 (約30万人)▽下鴨神社、平安神宮(約20万人)と続いている。

 写真は、学問の神として名高い菅原道真公を祀(まつ)る北野天満宮の拝殿部分。桁行(けたゆき)七 間、
梁間(はりま)三間、檜皮葺(ひわだぶき)入り母屋造りのこの拝殿は、慶長12(1607)年に豊 臣秀頼によって
造営された。桃山建築を象徴する、絢爛(けんらん)豪華な装飾が施されたこの建造物は、 奥にある本殿と
併せて現存する最古の権現造りの社殿であり、国宝に指定されている。
それぞれの社殿は共 に一段下がった「石の間」と呼ばれる土間で繋(つな)がれており、「エ」の字形の
平面を形成している。 その後この平面形式は、日光東照宮をはじめとする各地の霊廟(れいびょう)建築に
用いられるようになり、東照大権現すなわち徳川家康の神号にちなんで現在では「権現造」と呼ばれている。

 また、拝殿の東西にはそれぞれ「楽の間」が取り付き、さらに正面には「向拝」がとりついているため、
合計7棟によって全体の社殿は構成されている。そのため、社殿の屋根は変化に富んだ雄大な桧皮葺屋根に
よって構成されることとなり「八棟造(やつむねづくり)」とよばれる桃山建築の代表的な建築様式と
なっている。かくいう私自身、学生時代から7棟で構成されている「八棟造」という名称について疑問に
思っていたのであるが、最近になって、その疑問が解決した。ここでいう「八棟」の「八」とは「多数」
と いう意味であって、必ずしも八棟という訳ではないそうである。

 ともあれ、今年も1年の無事を祈り、新たな気分で北野天満宮へお参りをした年始であった。