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パーソナリティ)ローバー都市建築事務所
代表取締役社長 野村正樹
写真は、四条西洞院(下京区)にある京都市伝統産業振興館。
通称「四条京町家」と呼ばれているこの施設は、s02年の開館以来、京都の伝統的な暮らしと、
それらを支えてきた伝統的な工芸品の良さを体感するための施設として広く市民に親しまれてきた。
そんな「四条京町家」が、大きな節目を迎えようとしている。
今の形態で存続できるか危ぶまれているのだ。
四条通の北側に面した「四条京町家」は1910年(明治43)に建造された、間口5間、奥行15間の
本2階建て京町家である。鋼材卸商「田中文商店」の別宅隠居所として建設された表屋造りの京町家は、
東側に鋼材倉庫を併せ持つ珍しいスタイルだ。
隠居所と倉庫が一体の複合的な建築物としてとらえられ、京町家独特の伝統的様式美を形成している
ところも興味深い。
通りを挟んで向かい側にあった、田中文商店旧本宅は既に、取り壊されて現在は駐車場となっている。
もはや、四条通に唯一最後の古くからの京町家といっても過言ではない。
建物の一部だけは京町屋風を演出したようなマンションが建設されている昨今の京都市中心部。
最後に、京都市に建物を貸してきた四条京町屋のオーナーの言葉を紹介しておきたい。
「京都が好きでたまらない男が1人、京都から消えるものがあまりにも多くあるの を心配している。
着物、京町屋、西陣や室町などの生活文化、伝統文化が少しずつ消えていく……」
この流れを、少しでも止めなければ京都の未来はないと思うのである。