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放送日時 2016-12-08

2016-12-9OA 「カフェが育む時間と空間」

番組名:KYOTO space fountain

投稿日時 2016-12-09 13:15

出演者情報

パーソナリティ) ローバー都市建築事務所
             野村正樹

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先日、京都市下京区の高瀬川沿いに、一件のコーヒーショップを設計する機会に恵まれた。
正面通りと西木屋町通りの角地に位置する全17席のこのカフェは「murmur coffee kyoto」と名付けられ
街中にありながら都会の喧騒を感じさせない、落ち着いたローケーションに佇んでいる。
"murmur"とは日本語で「木の葉のざわめき」や「小川のせせらぎ」のようなかすかな音を意味する英語
であり、その店名が示す通り、目の前の「高瀬川」の心地よいせせらぎの音を聞きながら、四季折々の
花や緑を感じることのできる喫茶空間としての改装を計画した。
一杯の珈琲を愉しみながら、来訪するゲストに対してより魅力的な時間と空間と体験を提供することが
現代のカフェの計画には求められている。そういった意味において「高瀬川」の外部空間を、いかに
心地よく効率的に内部空間に取り込むことができるかを主眼に置きながらカフェの設計を行っている。
大きな木製窓を外部に対して、風景を切り取るように設け、自然を視覚的に感じさせるとともに自然光
を意識した濃淡のある照明計画を行った。
また、内装カラーはグレーを基調都市、店内の椅子やテーブル、本棚といった家具にはオーク材を選定
することにより、全体としてぬくもりと安らぎを感じることのできるしつらえとなっている。
 10坪ほどの小さなスペース。単なる喫茶店としての内装設計ではなく、カフェが育む時間と空間を新
しく創造することのできた、印象的なプロジェクトとなった。