岐阜県北部の盆地に広がる高山は、古代より飛騨地方の中心地として栄えてき た歴史の
ある町である。先日、そんな飛弾高山にある、「三町(さんま ち)伝 統 的建造物保存地区」を
訪れる機会に恵まれた。高山は商業経済を重視して建 造された城下町であり、元禄以降は
幕府直轄地(天領)として、旦那衆と呼 ば れる商 人を中心に発展を遂げた。
明治初期にあっても豪商を中心として栄え、 人口1万4000人、岐阜県下1番の都市であった。
しかしながら、都市化は他 の地 区よ り大幅に遅れ、昭和9年(1934)の高山線開通を機にようやく
高山の近代化 が始まることとなる。
その後も、その古い町並みは美しく保存され、「上三之町」「上二之町」「上 一之町」の三町が
合わせて「三町伝統的建造物保存地区」に指定された のは、 昭 和54年(1979年)のことである。
更には、江戸時代に徳川幕府の代官・郡代 が政治を司った役所である「高山陣屋」もあり、各地に
66ヶ所あっ た郡代陣 屋、代官所のうち、現存するものとしては全国唯一となっている。
現在でも多 くの観光客が訪れ、魅力ある町並みの情緒は地域住民の努力によって美 しく保 た れ
続けている。現在、京都においても5つの「伝統的建造物保存地区」が存在している。
(産 寧坂・祇園新橋・嵯峨鳥居本・上賀茂・石塀小路)。
それぞれ、京都の 特色あ る歴史的な町並みを残しながら、その保全が図られている。
豪華絢爛な高山祭りや町家造りの商家、伝統工芸の数々など、現代まで残る華 やかな町人
文化を今にうまく伝え、地域の産業に活用する。「飛弾の小 京都」 に おける伝建地区の取り組み
を知るにつれ、京都における伝建地区のありかた を深く考えることとなった春のひとときであった。
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パーソナリティ)ローバー都市建築事務所
野村正樹
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