京都市北区にある中川地域。周山街道(国道162号)を高雄からさらに北へ進んでいくと、
北山杉の産地として古くから有名な、中川地域に着く。
古来より中川地域は、清滝川が村の中央を流れていることから、「中河(なか ご)」「中川」と
」称されていた。神護寺文書(1219年)には「中川庄」とあり、承久元(1219)年に仁和寺領から
高雄山神護寺領となったと記されている。その後、江戸時代には中川村と呼ばれるようになり、
昭和23年に京都市に合併された後、現在に至っている。
また、北山林業・北山丸太の歴史も古く、室町応永年間ごろから始まったとされ、600年以上の
歴史があるといわれている。江戸時代中期には、現在のような人工林としての北山林業が確立された
と考えられている。北山杉は、その独特の色・艶・美しさから、特に茶室等、数寄屋建築の高級部材
として重宝され、発展してきた。
先日、そんな中川地域にある、明治31(1898)年創業の北山杉銘木店「中源」を訪れた。
倉庫内に丁寧に保管され、ずらりと並ぶ北山丸太の光景は、木肌の美しさを体感することのできる
静かな空間である=写真。今回、拭き漆7回塗仕上げ、4寸5分杉中杢柱の製作を特別に依頼した。
北山杉を拭き漆で仕上げることにより、更にその光沢と繊細な木目が美しく表現されることとなる。
近年まで和室の床柱として使われ続けてきた、北山丸太。
最近では、構造材から仕上げ材まで、さまざまな用途が研究・開発され空間に彩りを添えている。
私たち、京都の建築家にとっても、北山杉の美しさを活用しながら心地よい空間を創り上げることは、
腕の見せ所であり、今後のデザインの可能性にふれることのできたひとときであった