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放送日時 2017-06-16

2017-6-16OA 「京都の近代を飾った赤レンガ」

番組名:KYOTO space fountain

投稿日時 2017-06-16 13:15

出演者情報

パーソナリティ) ローバー都市建築事務所
           野村 正樹

パートナー)  橋本 沙抽里

烏丸通りや、三条通りを歩いていると、レンガ造りのレトロな建物を、よく目にする。
明治時代に文明開化が始まると、古都・京都では西欧都市を手本として、西洋風の近代建築の

建設がはじまった。俗に言う「赤レンガ」建築のはじまりである。

江戸時代までの京都の街並みは、木造の家が建ち並ぶ、火災や台風といった、

災害に対しては弱い”まち”であった。
そんな中、耐火性・耐久性に優れたレンガ造の建物に、当時の市民は、都市の未来に

期待を寄せてたことであろう。明治時代前半に教育や産業施設から始まった、近代建築の建設は

明治後期になると、金融や商業施設にまでその広がりを見せることとなる。

私自身が、「赤レンガ」の建築と出会うことなったのは、今から24年前の中学1年生の時であった。
同志社大学構内にあるチャペルと呼ばれる礼拝堂。DCグリーン設計による明治19年の献堂(竣工)の
レンガ造1階建ての建物である。それまで、町家に囲まれてきた私にとって「赤レンガ」建築との
出会いは実に新鮮でありその感動は今でも鮮明に覚えている。美しいステンドグラスの光のなかで、
毎朝、礼拝をした記憶は今でもいい思い出である。当時は、建築様式のことなど知る由もないが、
今から思うと、プロテスタントの礼拝堂にふさわしい、簡素な単身廊でありながら、鋏小屋組みの
美しい内部空間が印象的であった。また、いわゆるイギリス積という積み方で積まれた赤レンガの
外壁は独特の縞模様をつくり出し、木枠のバラ窓と相まって外観に彩りを添えていた。

そんな京都の「赤レンガ」建築の一つ、烏丸蛸薬師角にある旧北國銀行京都支店が先日改装され、
カフェやリラクゼーション施設を備えた商業施設としてリニューアルオープンした。赤レンガに白い
帯石の入った外観が特徴の旧北國銀行京都支店は、東京駅や京都文化博物館別館も設計した、建築家
辰野金吾の設計。旧銀行のロビー空間をカフェに改装した空間は実に開放的。京都の「赤レンガ」
建築からはそんな、文明開化のロマンが感じられる。

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