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放送日時 2018-11-23

2018-11-23OA 「伊勢善の麩屋格子」

番組名:KYOTO space fountain

投稿日時 2018-11-23 13:15

出演者情報

パーソナリティ) ローバー都市建築事務所
             野村正樹

パートナー)  橋本沙抽里

中京区高倉通三条上ル、京都文化博物館の1階部分には「ろうじ店舗」という江戸時代末期の京町家の

外観を復元した2本の路地がある。高倉通側の路地には、京料理などの飲食店が入り、内側の路地には、

京都の伝統工芸品や土産物を販売する店がずらりと並んでいる。そんな「ろうじ店舗」の表構えを構成する

格子や壁は、過去の文献や市内に現存する町家をもとに忠実に復元され、糸屋格子や仕舞屋(しもたや)

格子の他様々な種類の千本格子(京格子)をここでは一度にみることができる。他にも、虫籠窓や与力窓、

板壁や白壁、ばったり床几や暖簾なども復元され、幕末の雰囲気をよくあらわしている。

そんな折、先日訪れた、小川通りの京料理仕出し店「伊勢善」。

聞けば、「ろうじ店舗」の麩屋格子は「伊勢善」の格子を再現しているとのこと。麩屋格子とは、麩屋や湯葉

屋・豆腐屋によく見られる格子のデザインであり、濡れに強い太い格子が特徴的である。今もこの店には、

椹木町にあった「上の店(かみのたな)」市場で使用されていた安政年間(1854-1859)の鑑札が現存して

おり、その歴史の深さを今に伝える。

京都中央卸売市場が出来るまでは京都には三つの店 (たな)=市場= があり、それぞれ「上の店」「中の店」

「下の店」 と呼ばれていた。安土桃山時代より栄えた「上の店」は椹木町通の西洞院から堀川にかけて開か

れ、御所における日々の供御を欠かさぬようにと、大正の末頃まで京都最大の生鮮食品の市場として賑わ

っていた。ちなみに、中の店は今の錦小路市場、下の店は東山区問屋町通である。

写真は、「伊勢善」の料理場部分より麩屋格子を眺めたところ。出格子の内側には、「水場」 「七輪場」

等の作業台が据えられ水仕事がよくできるように工夫されている。格子の内部には「無双締まり」という採光

と通風を自在に調節できるスライド式の内格子が備え付けられ、西日を上手く板場に採り入れている。

写真にも写って下さっている六代目は大正9年生まれの86才。使い込まれた包丁とまな板で、”ぐじ“(甘鯛)

を見事に調理する手さばきは今もなお健在である。

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