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放送日時 2016-05-06

2016-5-6OA 「 思い出の 一条戻り橋 」

番組名:KYOTO space fountain

投稿日時 2016-05-06 13:15

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写真は、上京区にある「一条戻り橋」。
堀川と一条通が交差する場所に架かる長さ6メートルほどの小さな橋は、私自身、学生時代を
この橋の界わいで暮らしたこともある、思い出の橋でもある。

現在の橋は1995年に架け直され20年前は幅も現在のものより細く、歩行者専用橋が別に架けら
れていたのを覚えている。

この橋の歴史は古く、794年の平安京造営のときに一条大路と堀川が交差するところに設けられ、
現在まで同じ場所にある貴重な橋でもある。

建造当初は「土御門橋」と呼ばれていたこの「戻り橋」。平安時代に当時の文章博士・三善清行
が亡くなった時、父の死を聞いた子の浄蔵が熊野から帰ると葬列がちょうど橋の上を通っていた。
浄蔵はひつぎにすがって泣き悲しみ神仏に祈願したところ、不思議にも父は一時蘇生して、父子が
抱き合ったということである。以来この橋は「戻り橋」と呼ばれるようになる。

大江山の酒呑童子(しゅてんどうじ)を退治したことで知られる源頼光の四天王の一人「渡辺綱」が
この橋で美しい女性にやつした鬼女に出会い、その片腕を切り落としたという言い伝えもある。
また、戦時中、出征する兵士は無事故郷に戻ることを祈って、この橋を渡ったとも言われている。

堀川の川も戻り橋も建物も、様変わりをしてしまってはいるが、懐かしさがよみがえる。
景色は違えど、それぞれの思い出の”ふるさと”とはそういったものなのかもしれない。