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放送日時 2016-11-04

2016-11-4OA 「モダン和風を竹で彩る」

番組名:KYOTO space fountain

投稿日時 2016-11-04 13:15

出演者情報

パーソナリティ) ローバー都市建築事務所
             野村正樹

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 写真は、石塀小路の旅館「龍吟(りゅうぎん)」の1階部分にある和食料理店「かみくら」。
今月10日にオープン予定の、旬の食材を使用した雰囲気のある和食割烹店である。

 長さ7.4mのタモの無垢一枚板をカウンターに使用した店内は、全体をモダン和風でデザインし、
古都の風情を楽しめる空間としてまとめあげられている。

 「かみくら」の御影石張りの床と対比するように、天井や壁、建具や格子にまで孟宗竹を使用する
ことにより、繊細かつ上品な室内空間を構築することが可能となった。普段、建築仕上げ材に使われる
ことが少ない竹材。
こうしてさまざまな用途に使用してみると改めて「竹」のもつその効能に気付くこととなる。

 ひとつは、その柔軟さと強靱性である。竹かご等の工芸品に象徴されるように、比較的加工が容易で、
しなやかであるにも関わらず、強い耐久性を持ち合わせている。
このことから、従来の木材ではなし得なかった細い格子や桟の製作が可能となり、結果として美しい
デザインが可能となった。また、伸縮性が低いことも大きな特徴である。
物差しが竹で製作されていたことからもわかるように、竹は経年変化による伸縮が非常に少なく、
ひずみがない。そのような竹の特徴は、店舗設計の可能性を大きく広げることとなる。

 さらに、飲食店舗においては、竹の持つ抗菌作用も役に立つ。昔の旅人は、その抗菌作用に
着目し、竹の皮でおむすびを包み、竹筒を水筒代わりに使用していたのである。

 和のデザインともうまく調和する「竹」の特徴。今後に大きな可能性を残す店舗空間事例となった。