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放送日時 2016-11-08

2016-11-11OA 「京都ハリストス正教会の特別公開」

番組名:KYOTO space fountain

投稿日時 2016-11-11 13:15

出演者情報

パーソナリティ) ローバー都市建築事務所
             野村正樹

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京都の非公開文化財を訪ねる、秋の「京都非公開文化財特別公開」

。芸術の秋にふさわしく今年も10月28日~11月7日の日程において、京都市・八幡市の全21ヶ所で
開催された。第52回目を迎えるこの秋の特別公開。普段は非公開とされている伝統の社寺に今年は
新しく、近代建築のキリスト教会「京都ハリストス正教会」が初公開とされることなった。
京都市中京区 柳馬場二条にある「京都ハリストス正教会(京都生神女福音大聖堂)」。
1903(明治36年)竣工のこの教会は、京都府庁舎本館の設計者としても知られる、京都府庁の技官、
松室重光の設計による。白壁と緑青色の銅板葺きの尖塔が印象的な、その外観は、ロシア・ビザン
チン様式建築でありながら、和洋折衷の洗練された独特の造形美を生み出している。鐘楼の高さは
22メートル余にもおよび、玄関・鐘楼・聖所に向けて聖なる空間が上昇して広がりを見せている。
大型の本格的木造聖堂建築としては、日本正教会において最古であり、1967年(昭和42)年より
京都市の有形文化財に指定されている。
内部に入ると、正面には30面の聖画(イコン)をはめた、壮麗な多段式の聖障(イコノスタス)が
鮮やかに飾られている。ロシアから移送されたというこの聖障は、正教会において内陣と至聖所を
区切る重要な壁であり、尖塔と柱を模した装飾豊かなデザインが白亜の漆喰壁と見事な調和を見せている。
この秋の特別公開にキリスト教の文化財が加わるのは、今回が初めてのことであり、「本家」ロシア
においてもほとんど残っていない貴重な文化財を、身近に感じることのできた素敵な秋のひとときであった。