出演者情報
パーソナリティ) ローバー都市建築事務所
野村正樹
パートナー) 藤田 瞳
先日、宇治市にある藤原氏ゆかりの寺院、世界遺産「平等院」を訪れる機会に恵まれた。
10円玉にも描かれている「平等院鳳凰堂」は、まさに鳳凰が羽を広げたようなスタイルで、平安貴族の
栄華を現代になお伝えている。2014(平成26)年秋、2年あまりの歳月をかけた「平成の大修理」が完了。
柱や扉は赤茶色の顔料「丹土(につち)」で再塗装され、屋根の鳳凰一対には金箔が新しく施されるなど、
創建当初の平安時代の華やかさが忠実に復元されている。
平等院鳳凰堂(当時は阿弥陀堂)の建立は、平安時代後期・天喜元年(1053年)のことである。京都南郊
の宇治の地は、『源氏物語』の「宇治十帖」の舞台であり、平安時代初期から貴族の別荘が営まれていた。
父・藤原道長の別荘「宇治殿」を、その子の関白・藤原頼通が寺院に改め、西方極楽浄土をこの世に出現
させたような浄土式庭園と阿弥陀堂を造営したのである。経典に描かれている、浄土の宮殿をイメージした
優美で軽快なそのフォルムは、中堂、北翼廊、南翼廊、尾廊の4棟から構成され、阿字池の中島に東を
正面として浮かぶように石積の基壇上に建造されている。
『この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも 無しと思へば』権勢の絶頂を詠った、父・藤原道長と
関白・藤原頼通。当時、広く信じられていた「末法思想」を背景に、極楽往生を願い、西方極楽浄土の
教主とされる阿弥陀如来を本尊とする仏堂を建立することにより、現世での救済から来世での救済を願っ
たのである。
新しくなった、「平等院鳳凰堂」。その華麗な姿に触れながら、往時の歴史ロマンを感じることのできた
ひとときであった
音声
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