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放送日時 2016-06-21

2016-6-26OA 「モダニズム建築とアールデコ」

番組名:ふしざくアラカルト

投稿日時 2016-06-24 17:11

「モダニズム建築とアール・デコ」

写真は、前回の「きょうと空間創生術232」でも紹介した、京都市山科区御陵に建つ

「栗原邸(旧鶴巻邸)」にある2階の内部空間。玄関ポーチの上に大きく張り出した

丸みのある造形を室内にうまく取り込みながら、サブリビングともいうべき居心地のいい

くつろぎのスペースが構築されている。

全体はアール・デコ様式のすっきりとしたデザインでまとめられ、チェアとテーブルは、

クッションも含めて、1929年(昭和4年)竣工当時のものが、そのまま現在まで87年間

保存され続けている。アール・デコとは、20世紀初頭に流行した装飾の様式であり、

19世紀末に流行した植物などを思わせる曲線を多用した有機的なデザインであるアール・

ヌーヴォー様式に対し、幾何学図形をモチーフにした記号的表現や原色による対比表現を

その特徴としている。

幾何学的な意匠を組み合わせながら、落ち着きのある空間を実現しているところは、

建築のみならず、客船や家具・服飾・舞台デザイン・音楽・絵画まで多岐にわたり活躍した

建築家・本野精吾らしい設計となっている。無装飾で抽象的な形態を用いながら機能美を追及

するモダニズム建築と、アール・デコとのデザインの融合により、独自の空間を形成するに至った

「栗原邸(旧鶴巻邸)」。20世紀初頭、世界が新しい建築を模索し動いていたこの時期。

過去の様式建築からの脱却をひたすら目指した建築家・本野精吾が追い求めた空間がこの住宅には内包されている。