ここから本文です。

放送日時 2016-10-14

2016-10-14OA 「現存最古の旧議場」

番組名:KYOTO space fountain

投稿日時 2016-10-14 13:15

出演者情報

パーソナリティ) ローバー都市建築事務所
           野村正樹

音声

RSS取得

MP3ファイルの再生/ダウンロード

「現存最古の旧議場」

先日、本年3月に明治期当初の姿へと修復工事が完了した京都府庁旧本館内にある旧議場を訪れる
機会に恵まれた。明治37年(1904)竣工のこの議場は、現存する議場としては国内最古であり、
明治38年(1905)年から昭和44年(1969)まで実際に府議会の議場として使用されていた建築物である。
またその後は平成25年(2013)まで府政情報センターとして活用され今年から一般公開が行われている。
平成16年(2006)に国の重要文化財にも指定されている京都府庁旧本館と旧議場は、京都府の設計技師
を務めた松室重光の設計による。全体をネオ・ルネッサンス様式でまとめたそのデザインは、西洋近世
の意匠様式を巧みに取り入れたものであり、旧議場内部においてもその手法が見て取れる。
旧本館と一体化するように北側に突き出す形で配置されたこの議場は、アーチ型の曲線や蛇腹型の装飾
が施された漆喰壁などに代表されるように、壁面に変化を持たせたデザインが特徴的である。
南側を正面として、1階に議長席、理事者席、そしてこれらと面するように60席の議員席が半円形となっ
て階段状に計画されている。2階には傍聴席があり、家具・調度品や赤絨毯、シャンデリアに至るまで
明治時代の様式美が忠実に再現されている。天井は荘厳な折り上げ格天井となっており、壁面にある
植物をモチーフとした装飾品が、空間の格調をより高めることとなっている。
築112年、国内現存最古の旧議場。秋のひととき、数々の歴史を重ねたロマンあふれるこの議場空間を
一度訪ねてみてはいかがだろうか。