ここから本文です。

放送日時 2017-07-07

2017-7-7OA 「蔵の魅力を感じる再生事例」

番組名:KYOTO space fountain

投稿日時 2017-07-07 13:15

出演者情報

パーソナリティ) ローバー都市建築事務所
         野村正樹

パートナー)  藤田瞳

音声

RSS取得

MP3ファイルの再生/ダウンロード

間口が狭く、奥行きが長い”うなぎの寝床”と呼ばれる敷地に建つ京町家。表通りに面して間口いっぱい
に建てられた京町家の多くは、隣家ともその側面を接する形となっている。
従って、道路側からの採光には限りがあるため、人々は京町家の内部にいろいろな中庭・坪庭・裏庭と
いった庭空間や、天窓・通り庭といった光の取り入れ口を設け、自然光を有効かつ巧みに取り込みなが
ら快適に暮らす工夫を重ねてきた。
規模の大きな町家の場合、火災や盗難から家財を守るために敷地の奥側に、蔵が建てられている。
京町家における蔵の特徴として、他地域に比して、防火性や扉の頑丈さ、施錠などの防犯面に重点が
置かれ、意匠にはあまり凝ることなく簡素な機能美を形成していることがあげられる。また、裏庭を
太陽の自然光を反射させて明るく照らすために、白漆喰で平滑に仕上げられていることや、難を逃れる
ように「水」「火」などの文字や家紋を妻側の壁に表していることも興味深い。
先日、中京区高倉二条にある一件の「蔵」を再生する機会に恵まれた。京都を拠点に和の文化体験を
提供する「WAK JAPAN(ワックジャパン)わくわく館」。新しくなった蔵は「咲花蔵(さかぐら)」と
名付けられ、茶道・華道・着付け体験をはじめとした、様々な京都の文化体験ができる施設として計画
がされている。写真は、蔵の天窓を再利用しながら、再生を行った2階イベントスペース。
柔和な自然光が差し込むなか、蔵独特の重厚かつ落ち着きのある雰囲気を形成している。今まで数多く
の蔵の再生活用を行ってきたが、新たに蔵の魅力を再発見することのできた印象的なプロジェクトとなった。