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放送日時 2015-12-05

2015-12-5OA こども歌舞伎塾 代表 進藤秀保さん

番組名:きょうと・人・まち・であいもん

投稿日時 2015-12-05 14:30

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進藤秀保様

お遊戯でなく本格歌舞伎で歴史を伝える

山科は、歴史は古いですが伝えられているお祭りやイベントが少ないため、若い人たちが、山科に残るイベントをつくろうと集まり「山科義士まつり」の義士行列のあとでごみ拾いをして協力し合ってきました。  義士まつりとは、大石内蔵助良雄が浅野家再興に尽くしながら叶わず、吉良邸討ち入りを決意する間、京都・山科の地に隠棲した史実にちなみ、山科の住民と企業、行政が一体となり、地域の健全なコミュニティづくりのために昭和四十九年から始められたものです。その流れで、この歴史を再認識していただける企画はないかと考えだされたのが子供歌舞伎です。ビデオ鑑賞や歌舞伎に関する様々なことを勉強し始めたのが七年前になります。公演は討ち入りの日に合わせ平日となる為、義士行列に参加されている寺西幼稚園さんに協力いただくこととなり、先生方の指導の下子供たちは懸命に練習し、【口上】と【松の廊下(刃傷の場)】をこども歌舞伎としてはじめて公演しました。子供とはいえ、お遊戯になってはいけないとの思いから本格的な衣装をつくり、一人ひとりの頭に合わせてカツラをつくっています。二、三回目公演は、洛東幼稚園さん、清水幼稚園さんにもご協力いただきました。三年目を迎えると過去に出演した子が小学生になり、もっとやりたいと声が上がったので、出演した卒園生を集め本格的な歌舞伎にしようと立ち上げたのが「山科こども歌舞伎塾」です。春に演目を決め、約一年指導いただき本番に臨んでいます。今年は四段目【切腹の場】を公演します。十二月には南座で顔見世があり、四代目中村鴈治郎さんに監修していただいております。また十一月には赤穂事件とゆかりがある毘沙門堂で公演しました。毘沙門堂門跡の公辧法親王は、赤穂浪士たちの処分について将軍綱吉に意見を求められ、「本懐を遂げた浪士を生き永らえさせて世俗の塵に汚すよりも、切腹させることによって尽忠の志を後世に残すべきである」とされ、これによって綱吉は切腹を命じる決断をしたと伝えられています。この場面を新作として披露しました。仮名手本忠臣蔵は全十一段あり、毎年一段ずつとしても十一年かかります。子供たちが懸命に演じる忠臣蔵を見に来ていただきたいと思います。